一方、この岸田総理の予期せぬ発奮答弁で大パニックに陥っているのが、霞が関の官僚たちだという。
「霞が関で寝た振りをしている部署は2つ。1つは国会議員の政治資金収支報告書の窓口になる総務省。もう1つが、文化庁の宗務課です。オウムの事件以降、この課に違法な宗教団体を調査する『質問権』が与えられたが、実際にはその機能は休眠中です。というのも、職員は庁内最少の8人で、この人数では現状18万以上ある宗教法人を管轄するだけでも手いっぱいなのです」(政治部デスク)
宗務課は「何もしない課」の悪評を覆せるか。
「もっとも、今回の『質問権』の発動により、人員は倍増されたようです。とはいえ、『質問権』を行使するための捜査情報を握っているのは警察庁で、今後は、法務省、消費者庁などからも協力を得て四位一体で取り組むことになる」(政治部デスク)
突如目覚めたかのように活発に動き始める宗務課だが、これを危惧するのが連立を組む友党・公明党だ。
「山口那津男代表(70)は銃撃事件以降、『政治と宗教の問題に広げるべきではない』と発言するなど、統一教会の問題が公明党に降りかかることを警戒している。『解散命令』に関しては、『信教の自由を尊重することが基本』と一貫して主張し、今度の『質問権』の行使に先立って岸田総理から事前に説明がなかったとイラだっている。即時に連立解消とはならないにしても、今後の展開次第では岸田内閣との関係に影を落とすことになりそうです」(官邸キャップ)
寝た子を起こせば、自公連立にヒビが入る。それでも、「解散命令」こそが、岸田総理に残された“好手”だという。
「目の上のたんこぶである清和会(安倍派)を壊滅できる。安倍元総理亡き後、会長代理の塩谷立元文科相(72)が派閥をまとめる動きもあったが、うまくいかずに迷走中。細田博之衆院議長(78)、下村博文元文科相(68)、萩生田光一政調会長(59)など教団に近い“濃密議員”が多く、岸田総理の指揮の下、解散命令請求が進むほどに弱体化は避けられない。現在97人の党内最大派閥は、大きく“安倍系”と“福田系”に分かれるが、いずれ分裂し、草刈り場となるのは必至です」(政治部デスク)
まんまと解散命令までこぎつければ、岸田派、麻生派、谷垣グループが合体し、大宏池会の復活が現実味を帯びてこよう。
「岸田総理は教団とは『今後一切の関係を断つ』と説明するが、本来は過去に遡って調査し、処分した上で次のステップに進むのが正常ではないか。果たして、教団と関係の濃い清和会をこのままお咎めなしとするのか、それとも清和会排除に向けて本腰を入れられるのかが見ものです」(鈴木エイト氏)
二兎を追う岸田総理がほくそ笑む日は来るか。