世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる国会の動きが、風雲急を告げている。
岸田文雄総理は永岡桂子文科相、河野太郎消費者担当相に、解散命令請求を視野に入れた「質問権」行使に向けての対応を指示したのだ。
「質問権とは、法令違反の疑いがある宗教団体を調査するため、関係者に質問する権限のことで、場合によっては、立ち入り検査も可能となります」(社会部記者)
こうした動きを受けて、教団とズブズブどころか信者さながらの深い関係が発覚している自民党の萩生田光一政調会長は「結果として教団の信用を高めることに寄与してしまった、との指摘を真摯に受け止める。猛省しなくてはならない」と、衆院予算委員会で発言した。
自民党は萩生田氏のほか、あとからあとから次々とズブズブぶりを指摘されて釈明に追われる山際大志郎経済再生相をはじめ、179人もの党所属国会議員の、旧統一教会との接点が判明した。そんな「岸田カルト政権」も、コトここに至ってようやく、「選挙協力親衛隊」にメスを入れざるをえなくなったのだ。
旧統一教会問題に関わる弁護士やジャーナリストなどからは「解散命令請求の要件を既に満たしている」との指摘がある中、実際に解散命令が出されるとどうなるのか。実はここに問題が潜んでいたのだ。宗教ジャーナリストが言う。
「解散命令によって宗教法人格が剥奪されることで、税制上の優遇措置はなくなります。旧統一教会は現在、高額献金の返金請求や脱会届が相次いでおり、フトコロ事情は苦しい。そこに決定打が下されることになる。ただ、解散したとしても、団体としての活動ができなくなるわけではありません」
かつて解散命令が出されたオウム真理教はその後、「アレフ」など複数の団体に名称を変えて枝分かれし、現在もカルト活動を続けている。
「旧統一教会にしても、解散命令によって、逆に地下に潜っての活動が活発化する可能性がある。違法な勧誘や洗脳、財産をむしり取る献金強要の実態が、よりわかりにくくなる危険性を孕んでいるのです」(前出・宗教ジャーナリスト)
オウムの例を見てわかる通り、地下に潜ればその悪質性、カルト性は必然的にエスカレートし、闇にまぎれていく。
解散命令によって被害を撲滅できる──そんな保証はどこにもないのだ。