「質問権」行使に対し、教団側の動きも活発化している。20日の会見で、勅使河原秀行教会改革推進本部長は、「教区長の3分の1を2世に切り替える」と17人の2世信者を壇上にそろえて改革をアピール。さらには、元妻による高額献金が原因で家庭が崩壊、長男が焼身自殺したと訴える男性に対して、元妻へのインタビュー映像で真っ向から反論を展開したのだ。
一方で、20日付けの「朝日新聞」では教団の関連団体である「世界平和連合」の「推薦確認書」に署名し、政策協定を結んだという自民党議員の存在が新たに判明する事態に。
「一般に国会議員が推薦状をもらうためには、推薦団体との間で政策協定を結ばなければならない。例えば自民党議員が公明党の推薦をもらう際にも協定を結び、サインしている。すでに下村元文科相、沖縄1区の國場幸之助氏(49)、新潟3区の斎藤洋明氏(45)などが推薦状を受けていたことが確認されています」(政治部デスク)
9月に自民党が行った「点検」では、この推薦書に関する質問は含まれていなかった。
「サインした議員は数十人規模に広がる見込み。確認は取れていないが、萩生田政調会長、山際経済再生相も含まれるものとみていい」(官邸キャップ)
窮鼠ネコをかむ──解散命令請求を逃れるために、教団側が署名入りの推薦確認書を逆暴露する可能性も指摘されるのだ。
「これは教団側のリークの可能性もあり、今後、教団が関係を持った政治家をコントロールしてくる可能性は高い」(鈴木エイト氏)
40年以上にわたり統一教会問題を追及するジャーナリストの有田芳生氏は、著書「統一教会とは何か」(大月書店)でこう記している。
〈2009年に警視庁公安部は印鑑販売会社「新世」の社長ら信者を逮捕、統一教会渋谷教会の捜査が行われた。さらには、東京渋谷区松濤にある教会本部に捜査が進むかと注目されたが「政治の力」でストップされたといわれている〉
果たして、「教団と無関係な自分だからできる」と息巻く岸田総理だが、実現できるのか。鈴木エイト氏が今後の展開を語る。
「現状で、解散命令の請求まで行くことは確実でしょう。永岡文科相は『質問権を行使し、回答を待つ間でも事実関係が積み上がれば解散請求することができる』とポロッと手の内を明かしている。今後、検察が刑事事件を訴追し、結審する前であっても、解散命令を請求することが考えられます。近いうちに教会本部にガサ入れが入る可能性もあります」
一歩踏み外して滑落すれば、自民党がぶっ壊れるギリギリの攻防戦。その断崖絶壁に立つ岸田総理の真価が今こそ問われている。