卵よ、お前もか…。
価格変動が少なく、物価の優等生と言われる「卵」に異変が起きている。都内在住の主婦がため息をつきながらこう語る。
「今まで1パック220円~230円だった卵の価格が、いきなり260円以上にはね上がったんです。当然、値段の安いパックから売れていく。仕事帰りの夕方に残っているのは300円台のLLサイズや高級品のみ。地元のスーパーで1パック130円の安売りセールが行われた時は、買い物客が殺到しました。開店5分後に行って、ぎりぎり最後の1パックが買えたほどです」
卵や鶏肉の価格上昇は主に原油高の影響だが、今よりさらに値段が上がることもあり得るという。医療ジャーナリストの那須優子氏が言う。
「鳥インフルエンザの大流行です。鳥インフルエンザの流行期はこれから。夏にロシアや中国で過ごした渡り鳥が、越冬のため国内に飛来することで従来株に加えて変異株が持ち込まれます。イギリスでは日本に先駆けて1カ月前に野鳥が大量死するという不気味な現象が起きていますね」
そしてついに日本でも、10月28日に北海道と岡山県の養鶏場から高病原性の鳥インフルが、新潟の野鳥の死骸からも高病原性のH5株鳥インフルが検出された。
「昨年は鳥インフルで史上最多となる1000万羽近くが殺処分され、その9割が卵を産む親鳥でした。その影響で卵は1パック240~250円まで上がりましたが、今年も同規模の被害が出たら300円超えは必至でしょう」(前出・那須氏)
1パック220円が300円に跳ね上がる。実に40%近い暴騰である。全国の養鶏場では一斉消毒などの対応をとっているというが、果たしてパンデミックは防げるのか。これ以上の家計の悪化は何としても避けたいものだが…。