◎深谷=○浅井の裏表が大本線だ!
マークできる先行選手がいない追い込みは、有力ラインの後ろか、ラインの切れ目からチャンスをうかがうことになる。
「川崎記念」(5月29日【木】~6月1日【日】)に出走予定のS級S班は、浅井康太と深谷知広。浅井は取手全プロ記念を制し、深谷は平塚記念を勝っての参戦。この2人の力量は他を圧倒していて、そのうえラインを組むとなればマッチレース濃厚。車券的妙味は、3番手探しになりそうだ。
一昨年のここを深谷の2着と健闘したのが地元の勝瀬卓也。人一倍研究熱心で、最後まで諦めない粘り強さがある。それが昨年9月、GI初の決勝戦だった京王閣オールスター3着で実った。南関勢に強力先行が少なく位置取りに苦労しているが、コース取りの巧みさでカバー。今回はファンの注目度も高く、熱い応援の後押しもある。勝負どころで強引さを出してもいいのではないか。
勝瀬に似ているのが岩津裕介。中四国も先行が手薄なため単騎戦を選択することも珍しくないが、まくり追い上げでレースを作れるのが強み。みずから動いて見せ場は必ず作る。
さて、並びと展開。北日本は小松崎大地─大槻寛徳、関東は池田勇人─朝倉佳弘。そして南関は新田康仁─勝瀬─五十嵐力の3者と田中晴基─石毛寛之の千葉コンビに分かれそうだ。西日本は深谷─浅井─稲川翔の鉄壁中近ラインと、岩津─荒井崇博─大塚健一郎。他では好調な磯田旭と橋本強に、ここの10年の覇者・坂本亮馬が圏内と見た。
主導権を取るのは小松崎。池田が早めに仕掛け、新田も前々で戦う。深谷がまくるには絶好の流れになりそうだ。
◎深谷=○浅井。押し切るか差すか、この2人の裏表が大本線。3番手評価に小松崎を抜擢する。勝つまでは厳しいが、後ろが牽制し合うようなら前残りがある。岩津の突っ込みも差はない。
伏兵は、ホームバンクの小原大樹(95期)と巴直也(101期)に、高久保雄介(滋賀・100期)を加えた機動型3選手。2月FI和歌山でS級初Vを飾ったのが小原。安定感には欠けるものの、積極性が出てきている。巴は2月と3月に3連単10万車券に絡んでいる大穴メーカー。筋違いがおもしろい。高久保は2月静岡記念【1】【1】【3】●【9】(●は決勝レースの着順)と好走。ここも逃げ1本の、はつらつとした競走でバンクを沸かせる。
◆プロフィール 山口健治(やまぐち・けんじ) 1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。
◆アサヒ芸能5/27発売(6/5号)より