阪神にとっては悔やんでも悔やみきれない、痛恨のドローになってしまった。
4月2日のDeNA戦、6-6で迎えた延長11回裏のことだ。二死一塁で、打席は4番の森下翔太。ライト前へフラフラと上がった飛球は二塁・牧秀悟と右翼・三森大貴の間に落ちるポテンヒットになった。エンドランでスタートを切っていた一塁ランナーの中野拓夢は一気にホームを狙ったが、牧からドンピシャのバックホームが返され、タッチアウトに。サヨナラのチャンスは潰え、結局、延長12回の痛み分けとなったのである。
中野は三塁を回った時点でいったんスピードを緩めていたが、再スタートして本塁憤死。いったい何が起きていたのか。
「プロ野球ニュース」(フジテレビONE)に出演した野球解説者の高木豊氏はこの場面について、
「サードコーチがいないんですよ」
と、驚きの解説。三塁の田中秀太コーチがコーチャーズボックスでなく、本塁側に移動していたことを指摘したのだ。続けて、
「(ランナーが)サードを回るのと一緒に(腕を回して)意思表示を見せて引っ張らなきゃいけない。先に(本塁方向へ)行っちゃってるから、中野が最初(田中コーチを)見えてなかったんじゃないか。だから止まろうとしてて。そうしたら(田中コーチが腕を)回してるから慌てたんじゃないかな」
在阪スポーツ紙デスクの見解はこうだ。
「そもそもギャンブルで本塁を狙うケースではなかったと思います。次打者はこの日2本のタイムリーを放ち、3打点を上げていた5番の大山悠輔。三塁に止まって大山に託す場面だったのでは」
阪神は今年から配置転換で、三塁コーチが交代したばかり。昨年まで三塁コーチだった藤本敦士コーチは今年から総合コーチとして、ベンチで藤川球児監督のサポートに回っている。田中コーチは昨年まで2軍の内野守備走塁コーチだったが、今年から1軍内野守備走塁コーチに。1軍での三塁コーチ経験の少なさが、判断ミスを招いたのかもしれない。
選手と同様にコーチも経験を積んで、判断力を磨くしかないのだ。
(石見剣)