バンド結成記念日となる12月28日、日本武道館でデビュー30周年イヤーを締めくくる。その「Debut 30th Anniversary THE YELLOW MONKEY SUPER FAN PARTY 1228」を開催するのは、The Yellow Monkeyだ。
89年に元アークポリスの吉井和哉が中心にとなって結成されたバンドは12月28日に、渋谷「ラ・ママ」に出演。以降、12月28日はイエモン誕生の日として特別ライブが行われてきたが、今回はファンクラブ会員限定。デビュー時からの貴重なライブ映像上映のほか、メンバー着用のステージ衣装や使用楽器などの展示もあり、まさに、デビューから30年を共に過ごしてきたファンのために、感謝を込めた一夜になる予定だ。
イエモンは91年7月、インディーレーベル「ENGINE」から「Bunched Birth」をリリース。翌92年、「Romanist Taste」でメジャーデビューを飾ることになる。ライブではマニアックな楽曲と劇場風のステージングでコアなファンをつかんでいたものの、メディアではマニアックなグラムバンド、さらにはビジュアル系バンドとして扱われることもしばしばだった。
そんなイエモンが一転、一般リスナー受けするポピュラリズムに徹し、リリースしたアルバムが、チャートで初登場4位をマークした通算4枚目「Smile」(95年2月発売)だった。
実はこの大幅な路線変更の裏には、思うような結果を見い出せず、メンバー、スタッフ間で「10万枚で終わるか、オリコン1位を目指すのか」という侃々諤々の末、メンバーが「オリコン1位を目指したい」という意志を表明。それにより、明確な方向性が決まったといわれている。
そんなこともあり、同アルバムは、前作のような堅苦しいコンセプトや、マニアック志向の「密室性」は一切なし。代わって60~70年代のハードロックを源流としながらも、よりポップ感が前面に出る作りに仕上がっていた。
結果、この方向転換が功を奏し、4月に行われた日本武道館公演も、チケットは即日完売。11月に発売された5枚目のアルバム「Four Seasons」は、念願のオリコン初登場1位を記録した。イエモンは名実ともに、日本を代表するバンドとしての地位を確立することになる。
余談だが、「黄色いサル」というネーミングを聞いたローリング・ストーンズのメンバーは「すげぇ名前だな。絶対、忘れない」と唖然としたという。洋楽へのコンプレックを武器に、日本人が持って生まれた世界観を見事に体現したアルバム。それが、この「Smile」だったのである。
(山川敦司)