社会

コロナ解熱剤が大量に消えた!「中国に持ち逃げ」売国医師と厚労省の人災だった/コロナ残酷物語

「香港に帰るので、薬を半年分ください」

 これはコロナ第7波の最中、私の派遣先にかかってきた電話である。香港出身で呼吸器に持病を抱える新型コロナ陽性患者からの相談だった。

 当サイトで既報通り(11月24日配信記事「コロナ&インフル同時流行より怖い「全ての医薬品が消える」この冬の大パニック」)、日本国内では20年以降、薬不足に陥っている。ジェネリック医薬品の大手「日医工」や「小林化工」が、国に承認されていない工程で医薬品を製造したことが次々と発覚し、業務停止命令処分を受けたことが原因だ。

 中でも、妊婦でも飲める解熱剤「カロナール(成分名:アセトアミノフェン)」は需要に対する供給が追いつかず、厚労省はコロナ第7波の真っ最中、7月29日に全国の地方自治体と医師会に「アセトアミノフェン製剤の安定供給について」と題した、買い占めを禁じる通達を出した。買い占め禁止も何も、製薬会社と仲卸業者の倉庫は、とっくにカラなのだが…。

 その矢先に「中国に帰るから大量の薬が欲しい」などと言い出す患者が増えた。日本が世界に誇る健康保険制度で毎月保険料を納めている我々ですら発熱外来を受診できず、幸運に受診できたとしても5日分しかもらえなかった時期である。

 発熱外来の医師には「5日分もあれば十分だ。足りなければ薬局で買ってくれ」とムゲに言われる。薬局で買えるなら、誰も塩対応の医師に頼みはしない。薬局で売っていないから、医師に懇願しているのだ。

 冒頭の香港出身の患者は「香港に帰っても中国の薬は信用できないから、日本の薬が欲しい」と訴える。気持ちはわかるが「中国の事情なんて知らんがな。日本の妊婦に処方できる薬もないのに」と言い返してやりたい気持ちをグッと抑えて、主治医に取り次いだ。何を考えているのか、主治医は半年分の薬を大盤振る舞いした。

 デタラメな話だが、自由診療であれば医師は言い値で、例えば「カロナールを10万円~120万円」で、患者にいくらでも売りつけることができる。しかも、健康保険制度の悪用も可能だ。厚労省は22年度から、健康保険診療でも90日以上の長期処方を認める「診療報酬の改悪」を行った。厚労省が健康保険制度で「海外に帰国する外国人が薬を持ち出し放題」システムのお膳立てをしたのである。

 考えてみれば「カロナールの流通において、需要と供給量のバランスが著しく崩れている」は、おかしな話だ。

 国内でカロナールの販売シェア8割を誇る「あゆみ製薬」は、デルタ株流行時の供給量をベースとして、22年内に20億錠の生産を予定している。全日本国民がコロナにかかっても、カロナール20回分は飲める計算だ。持病で痛み止めを常用する患者は、とっくに別の消炎鎮痛剤に置き換えている。にもかかわらず、カロナールの需要は供給量の3倍に上った。カロナールはどこに消えたのか。

 第8波に入りかけて再び、開業医の元には、

「『中国の薬は信用できないから、日本の薬が欲しい。いくらでも金は出す』という、中国出身患者からの相談が寄せられています」(発熱外来のあるクリニック院長)

 なぜ彼らはいつも一語一句変わらないセリフを述べ、大量の薬を欲しがるのか。

 感染症に関連した医薬品をいかに安定供給、確保するかは、将来用いられるかもしれない生物兵器を念頭に置いた、安全保障上の課題でもある。厚労省は持病のある人が使えない「コロナ新薬」承認や「カロナールを使うな」という通達を出す前に、受診患者数に対して異様な数の処方薬を発注する「売国医師」の監査に入るのが先ではないのか。

 筋の通らないコロナ行政を続ける厚労省医政局に取材を申し入れ続けているが、新型コロナ上陸から1000日、いまだ取材許可は下りない。

(那須優子/看護師・医療ジャーナリスト)

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