森三中の結成秘話から明らかになったのは、なんとも意外な事実だった。
「あちこちオードリー」(11月23日・テレビ東京系)にゲスト出演した際のことだ。そもそも、村上知子と黒沢かずこは吉本の養成所NSC時代からコンビを組んでおり、大島美幸は奇抜な格好でネタをするピン芸人だった。
が、ピン芸人として行き詰まりを感じ始めた大島が、村上&黒沢のコンビに加入を希望したという。元々、講師たちからも一目置かれる存在だった大島の加入希望に対し、当初は断った2人。その理由を村上は、
「私たちが誘ったんじゃないかって思われるのが嫌で。(当時の大島は)1人で十分、成立してるから『(ピンのままで)いいんじゃない』みたいなところがあったんですよ」
トリオになることで大島の評価が下がるのでは、と懸念していた村上と黒沢に、大量のお菓子を差し入れ、トリオとして活動することになったのだ。「簡単でした、落とすの」と大島。
そんな森三中において、実は黒沢こそがブレーンだったことが判明した。「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」(日本テレビ系)の名物企画「ハイテンション・ザ・ベストテン」のオーディションを受けるチャンスが巡ってきた際のことだ。
元々、黒沢がダウンタウン、特に松本人志の大ファンなのは有名で、そんな黒沢にとってこの機会は絶対に逃してはならないものだった。
とはいえ、当時の黒沢はさほどインパクトのある見た目でもなく、本人もそのことを自覚していたそうで、黒沢曰く、
「大島がいちばん奇抜な感じだったんで、わかりやすいかなと思って。『大島、こういうふうにした方がいいんじゃないの』って、それで合格して入れたんですよ」
MCの若林正恭(オードリー)が「黒沢さんのダメ出しとかあるんですか」と聞けば、大島は「怖かったですよ」、村上は「けっこう厳しい」。具体的には「違う!角度違う」と注意されたりするのだとか。
その「ハイテンション・ザ・ベストテン」で大島が披露したのは「紐に跨った女が、股間をその紐に何度も擦りつけながら、笑い声を上げる」というネタだった。ここでも、跨り方や擦りつける角度、笑う前の表情の変化など細かい部分に対して、黒沢から非常に厳しい指導が入った。
そんな黒沢の「演技指導」について「蜷川幸雄かと思った。なんか投げられんじゃないかと思って」と大島。
その後も「ガキ使」に定期的に出演していた森三中だが、今では考えられない過激な演出が多く、「女体盛りとかやりましたもんね」と話す大島。
たびたび脱いだ大島だが、実は普通に恥ずかしかったのだとか。大島本人は、カメラが回ってるところは問題ないが、控えてるところが嫌なのだ。大島が振り返る。
「そうなんですよ。亀甲縛り(で出演した時)の、まだ裏にいる時。男性スタッフさんがここ(目の前)にいて、すごい狭いところで待ってる時間で、こうやって(胸とか)隠しちゃいますもんね」
しかし、ガッツリ隠すことで共演者やスタッフに「恥ずかしいのか」と悟られても嫌だからと、鼻が痒いフリをして何気なく隠していた。
もともと下ネタも言いたくないような性格の大島に脱ぐよう指示したのもまた、黒沢だ。村上が説明する。
「男の人が打ち上げでバーっと脱いで『ウワー!』みたいなのはあったけど、女子がその中にいて、黒沢さんの指示で『今ならいける』みたいな」
そんな大島の姿をテレビで見た放送作家の鈴木おさむ氏が見初め、結婚したのだから、黒沢こそが愛のキューピッドとも言える。
さらに、自分の容姿やキャラクターを把握した上で、自分にはできない笑いを仲間にさせるプロデュース力もなかなかのものだ。
トリオで唯一の独身。トーク番組では常々、ネガティブな発言を繰り返し、自身が「孤独である」ことを訴えている黒沢。彼女こそが真の女芸人なのかも!?