「19番」は、アンタッチャブル?
阪神・青柳晃洋の背番号が「50」から「17」に変更されることになった。「17」をつけていた岩貞祐太が「14」をつけることになり、それにともなって青柳も“昇格”した。しかし、「17」以外にも良い番号は空いている。いや、空く予定だが、それを継承する投手の話は一切出ていないのだ。
去る12月2日、12球団の来季契約保留選手名簿が公表された。阪神59選手のなかに、藤浪晋太郎が含まれていた。藤浪は前日12月1日にポスティングシステムの申請手続きを終えているのに、だ。
「規定では、米球界との交渉期限は45日間。メジャーリーグ球団との契約がまとまらないうちは旧在籍チームに対象選手の保有権があります」(スポーツ紙記者)
要するに、MLBとの移籍交渉に失敗した場合、「阪神帰還」が保障されているわけだ。そんな藤浪に対する米球界側の評価だが、代理人、藤浪自身の両方と隔たりがあるようだ。
「代理人を務めるスコット・ボラス氏は『先発』として活躍できるとし、売り込みをかけています」(前出・スポーツ紙記者)
しかし、米CBSスポーツ社が〈9回換算で4四球以上を出す数値が高い〉と伝えたように、「先発投手としてやっていくのには厳しい」と指摘していた。
「MLB各球団も制球難を気にしています」(在米ジャーナリスト)
ここから先の考え方が、MLB各球団、代理人、藤浪の3者で違ってくるのだ。
先発投手として契約を勝ち取ることが百点満点だとする。ボラス氏はゼネラルマネージャー会議(11月9日/現地時間)で「球速があって、スプリットを投げられる先発投手は少ない」と述べたように、藤浪への低評価を覆すつもり。ボラス氏が一歩も譲らなければ、交渉の長期化は必至だ。
「マイナー契約、スプリングキャンプでの招待選手」という“お試し期間”を挟む折衷案も予想されています」(前出・在米ジャーナリスト)
先のCBSスポーツ社はリリーフとしての入団も予想していた。ボラス氏は、リリーフでもメジャー契約ならば話を聞くテイだが、藤浪は先発であれば、マイナーからのスタートでもいいと思っているそうだ。とはいえ、メジャー関係者が言うには、
「ボラス氏は専属通訳もつかないマイナーの環境を心配しています」
交渉を重ね、代理人、藤浪が考え方を変える可能性もあるが、45日間で空中分解してしまうかもしれない。「トラの19番」は、来季も藤浪のままとなるのだろうか。
(飯山満/スポーツライター)