今年の交流戦も大詰めを迎えました。セ・リーグ首位で交流戦に突入した広島が大失速するなど、2連戦続きの特殊な戦いは、今年もパ・リーグ優位の図式となっています。同じく厳しい戦いを強いられている阪神の戦いぶりを物差しにして、パ・リーグのチーム、選手を分析してみましょう。
まず印象に残ったのはソフトバンク打線の強打です。ポイントゲッターの内川が右大臀(だいでん)筋の肉離れで5月26日に出場選手登録を抹消されましたが、彼の不在を感じさせない破壊力です。6月4日の巨人戦(ヤフオクD)から6月7日の広島戦(マツダ)までは3試合連続の2桁得点。続く6月8日の阪神戦(甲子園)では阪神に初回に9得点されましたが、3点差にまで追い上げる底力を発揮。最終的には8得点で4戦連続の2桁得点は逃しましたが、阪神ベンチに冷や汗をかかせました。
ソフトバンク打線の強みは、個性のある打者をそろえていることです。同じようなタイプが並んでいては、チームとして対戦投手の好き嫌いが偏ります。阪神打線の場合は、技巧派には強く、パワー系の投手には弱いという傾向があります。その点、ソフトバンクは右打者、左打者のバランスもよく、同じ左でも長谷川、中村、柳田とタイプがそれぞれ違います。どんな投手が出てきても誰かが突破口を開いていけるのです。
中でも昨季の首位打者の長谷川の存在が光っています。穴がない感じで、冷静ながらも投手に向かっていく気持ちの強さを感じました。内に秘める闘志は相当なものがあるのではないでしょうか。打席でのルーティンも、独自のしっかりした打撃理論を身につけている証しでしょう。
私も現役時代、打席に入ってからのルーティンがありました。ピタッと構えが決まるまでの一連の動作は、自分なりのチェックポイントの確認だったのです。投手に対する右肩の角度、肩の力を抜くこと、グリップと体の距離だとか、いわばスイング前の最終チェックです。長谷川もいくつかのチェックポイントを持っているようです。自分の打撃を理解しており、調子を落とした時にも立て直しが利くはずです。
不動の4番、李大浩(イ・デホ)の存在も見逃せません。オリックスから移籍1年目ですが、チームにもようやく慣れ、大きな体も切れが出始めました。5月まではおとなしかったのが、6月に入って一気に調子を上げてきました。打席で何をすればいいかわかっている本物の4番打者です。右の李大浩と左の長谷川が打線に安定感を与えているから、同じく右の松田、左の柳田という超攻撃的なタイプの打者が生かされるのです。
先発投手陣は寺原やウルフが今季絶望となるなど駒不足が否めませんが、12球団NO1の打線で十分にカバーできるでしょう。三軍制を敷いており、ファームの試合を見ても層の厚さを感じます。秋山監督のタクトも落ち着いており、やはり優勝候補の大本命です。