さらに、グループリーグ3戦目(日本時間25日)で対戦するのが、南米代表のコロンビア。接戦が予想されるCグループだけに、前回の南アフリカ大会同様、3戦目まで決勝トーナメント進出決定がもつれる可能性は高い。
「コロンビアの絶対的なエースのファルカオが、左膝の靱帯損傷でメンバーから落選したことは日本にとっては明るい材料ですが、チームを率いる名将ペケルマン監督が『FWの黄金時代』と自負しているとおり、ファルカオの代わりに9番を背負うグティエレス、独ブンデスリーガで岡崎の得点(15得点)を上回る16得点をあげたラモス、バルセロナやレアル・マドリードなどの強豪クラブがひしめくリーガエスパニョーラで14得点をマークしたバッカ、さらにポルトガル・リーグで2年連続得点王になったマルティネスも控えています」(水内氏)
日本のファンにはなじみのない名前かもしれないが、その実力は折り紙付き。決定力のあるタレントぞろいだけに、W杯直前の強化試合2試合で4失点を喫するなど、守備面で大きな不安を残す日本にとっては、コロンビアの怒濤の攻撃をいかに食い止めることができるか、が勝敗の大きなポイントになるだろう。
戸田氏がこう指摘する。
「コロンビアの選手にとってブラジルでの試合は、準ホーム的な感覚で臨めるはずです。現状を踏まえても、日本の劣勢が予想されますが、ハードワークでルーズボールをマイボールにする。危機的な状況を察知したら誰かに任せるのではなく、フォア・ザ・チームのプレーに徹すれば、決して日本に勝機がないわけではない」
そして、“麻薬大国”コロンビアには、小刻みのパスをキメまくり、圧倒的な運動量で相手のミスをアブリ出す。そして、ワンチャンスをシャブり尽くせれば、格上チームといえども撃破は不可能ではない。
「守備の要でもあるセンターバックのジェペスは38歳。全盛期と比べるとプレーの質は落ちています。特に、スタミナ、スピード面の劣化は著しいため、ギリシャ戦同様にチーム全体が連動して、小刻みにつなぐパスサッカーによる攻撃は十分に通用します。また、7日のザンビア戦のロスタイムに、ボランチに入った青山がセンターサークル内からゴール前にロングボールを放り込み、それを大久保がワントラップで左足を振り抜き、ゴールを決めましたが、あの電光石火の攻撃パターンも相手にとっては脅威になります」(戸田氏)
さらに、コロンビアの選手は“トラウマ”を抱えて、今回のW杯に臨んでいると言われている。そこで日本代表が「ウイークポイント」を突けば、グッと勝利を引き寄せることができる。
「94年のアメリカ大会でバルデラマやアスプリージャ、リンコンなどの個性豊かなタレントをそろえたコロンビアは、優勝候補の一角にあげられていましたが、まさかのグループリーグ敗退。そのA級戦犯としてつるし上げられたのが、2戦目の米国戦でオウンゴールを献上したDFのエスコバルという選手。彼はアメリカ大会終了後に12発の銃弾を浴びて即死。この“エスコバルの悲劇”は、当然のことながら、現在のコロンビア代表の選手たちも知っていて、そのためオウンゴールという痛恨のミスだけはしたくないという思いがあるはず。両サイドバックの長友、内田が積極的にオーバーラップしてオウンゴールを誘うようなグラウンダーのクロスを上げていけば、コロンビアのDF陣にとっては大きなプレッシャーになる」(栗原氏)
まさに命がけのW杯。絶対に諦めないサムライスピリットが、日本をさらなる高みに導くに違いない。