一方、Jリーグ浦和レッズなどで活躍したサッカー解説者の水内猛氏は、「空中戦」を警戒する。
「ギリシャは平均身長が185センチと“高さ”に自信があり、逆に日本はそこが弱い。そのため、セットプレーは絶対的に不利なので、ペナルティエリア付近では不用意なファウルでFKを与えたくない。さらに相手が攻撃に転じた時は、前線から守備を仕掛け、なるべく高い位置で攻撃の芽を摘み取り、最終ラインにボールを放り込まれないようにしたい。逆に、攻撃では地上戦で勝負することで突破口は切り開かれる」
つまり、ギリシャの堅い守備の牙城を崩すには、日本人選手の豊富な運動量を背景にした「バック攻め」がモノを言うということか。
さらには、欧州王者になったこともあるギリシャだが、W杯では一度もグループリーグを突破したことがないというデータもある。倉敷氏によれば、
「ギリシャの財政問題の一件でも明らかになったとおり、ギリシャ人には怠惰なところがあります。これはサッカーも同様で、親善試合など勝ち負けの重要度が低いゲームでは、選手たちのモチベーションが見るからに低いんです。ガチンコ勝負のW杯では決死の覚悟で臨んでくるとは思いますが、ギリシャは欧州の列強国には恐れられているが、W杯の戦績は日本のほうが上回っているなど、内弁慶なところもあります。しかもブラジルの気候は高温多湿で、ベースキャンプ地から試合会場への移動距離も長く、こうした過酷な環境での戦いは、砂漠気候の中東や亜熱帯の東南アジア諸国での戦いに慣れている日本のほうに分がある。日本が根気強く勤勉に動き、ボールを回すことができれば、じわりじわりとボディブローのようなダメージとなり、ギリシャ選手の足を止めることができる」
ギリシャにとって、試合会場となるブラジルのナタルは気候的にも“アウェー”な会場。高温多湿な気候に順応している日本にとっては好都合だ。
そこで対ギリシャ戦でキーマンとされるのが、DFの長友だ。前出・水内氏が語る。
「ギリシャは序盤から引いて守ってくるはずですが、さらに足が止まってくると選手交代により守備的な選手を入れて、ガードを堅くしてくることが予想されます。そうなると中央から崩すのはより難しくなる。そこで突破力と運動量にたける長友を1列上に上げるなど、サイドからペナルティエリア内へと侵入し、DFの背後にボールを運ぶことで決定機を作っていきたい。また、ドリブラーの大久保や斎藤を投入するのも効果的」
世界が認める長友の疲れ知らずな“精力”が、ギリシャをイカせまくるに違いない。
◆アサヒ芸能6/17発売(6/26号)より