「二度あることは三度ある」とは、よく言ったものである。
睡眠導入剤を飲んで車を運転したとして、警視庁は11月2日、お笑いコンビ「インパルス」の堤下敦を、道路交通法違反(過労運転)容疑で東京地検に書類送検した。
堤下は6月14日午後2時頃、東京都世田谷区のコンビニ駐車場から車を発進する際、店の看板にぶつかり、対岸のガードレールに衝突。所轄署の調べによれば、堤下は睡眠導入剤の影響で正常な運転が困難な状態だったにもかかわらず、車を運転。事故に至ったものだとみられている。堤下による事故は、なんと3度目だった。
1回目は17年、奇しくも同じ6月14日に起こったが、この時も睡眠導入剤を服用して運転。サウナから自宅に戻る途中だったという。道交法違反で罰金30万円の略式命令を受け、同日夕方、東京・新宿の吉本興業で涙ながらに記者会見に臨むことになる。
事故原因について堤下は、じんましんによる体のかゆみで夜も寝られないことがあり、医師から睡眠薬を処方されていたとして、
「薬を飲んで車を運転してはいけないと説明を受けていたのですが、サウナと自宅は車で10分かからない場所だったので、家に帰ってすぐ寝ようと思って運転してしまった。ネットで薬が効くまで多少時間があると目にして、近所なので効率よく寝られると勝手に思った。全て僕の認識不足、甘さだと思っています」
ところが、事故からわずか4カ月後の10月27日。今度は横浜市内でゴミ収集車に追突。収集車に乗っていた作業員2人に軽傷を負わせる事故を起こしてしまうのだ。
私が事故現場を訪れると、そこは国道1号線に面した交差点。緩やかな下り坂にはなっているものの、見通しのいい大通りだ。当日は晴天だったことから、突発的なアクシデントが起こる可能性は低いと思われ、本人の運転ミス、あるいは注意力散漫が原因である可能性が極めて高いと感じた。
吉本興業関係者に話を聞くと、
「6月の件で9月に書類送検され、謹慎が解けたのが10月。そんな矢先にこの事故では、もうかばい切れませんね」
と前置きして、こうため息をついた。
「堤下は仕事がなくなったことで、貯金を切り崩す生活が続く中、奥さんとも離婚。以降は神奈川の実家で暮らしながら、アルバイトで生計を立てていたと聞いています。ただ、19年に立ち上げたYouTubuチャンネルがようやく軌道に乗ってきて、テレビへの復活も近い、と会社でも期待していたところでしたからね。残念ですが、これで地上波への復帰の道は完全に閉ざされてしまったでしょうね」
「仏の顔も三度まで」となってしまったようである。
(山川敦司)
1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。