総理でありながら派閥の会長を続けるのはいかがなものか──。
1月10日、菅義偉前総理は訪問先のハノイ(ベトナム)で記者団の取材に応じ、就任後も岸田派の領袖に留まり続けている岸田文雄総理を、こう一刀両断。返す刀で、同日発売の「文藝春秋」(23年2月号)のインタビューでも「派閥政治と決別せよ」と題し、「岸田総理が派閥に居続けることが、派閥政治を引きずっているというメッセージになって、国民の見る目は厳しくなると思います」と、現職の総理・総裁をコキ下ろした。
この露骨なまでの岸田批判に、永田町は唖然、騒然、憤然。岸田派の有力幹部は怒りも新たに、次のように吐き捨てる。
「昨年9月に行われた安倍(晋三)元総理の国葬儀で、菅前総理は『友人代表』と称して弔辞を読み上げた。ところが弔辞の中に岸田総理の名前は一度として登場せず、岸田総理はこれを『岸田降ろし』へ向けた、菅前総理の『宣戦布告』と受け止めた。当然、岸田降ろしの先には『ポスト岸田』への野望がある。しかも今回、菅前総理が存在感をアピールすべく訪問したベトナムは、かつて自身が総理に就任してから初めての外遊先となった地でもある。要するに、胸中深く秘めていた再登板へ向け、いよいよ蠢き始めたということだ」
さらに、岸田総理がブチ上げた「異次元の少子化対策」の財源についても、菅前総理はハノイでの会見で「消費税を増税してそこ(少子化対策)をやるという、そういうことは私自身、全く考えておりません」とも語っている。岸田派の有力幹部が続ける。
「目下、菅前総理は党の税制調査会長でも何でもなく、非主流派に甘んじている素浪人にすぎない。そんな無役のただの素浪人が総理気取りで『消費増税は考えていない』などと語るのは、まさに笑止千万の極み。岸田総理の周辺からは早速、『いったい何様のつもりだ!』との、冷笑交じりの怒声が上がっている。加えて、菅前総理がしたり顔で開陳した派閥批判についても、党内からは『ならば、菅グループやきさらぎ会などと称されるガネーシャの会、韋駄天の会、菅義偉を支える参議院議員の会、令和の会はどうなんだ』とのツッコミが入った。『派閥ではない』と釈明しても、誰も納得しないだろう」
いずれにせよ、その顔を見ているだけで気持ちがクラ~くなる、陰鬱たる表情の菅前総理の再登板を望む国民は、多いとは思えないのだが…。