参拝はまさにここしかないタイミングで行われました。日本と中韓との関係を考えても最悪の状態が続いており、これ以上悪くなりません。年が明ければ、国会も始まり、沖縄の選挙、都知事選と新たな政治課題が出てきます。また、国民も去年のことは去年のこと、新たな気持ちで年明けをという空気になりますから。
安倍さんは国民にとって必要な経済の問題に取り組み、参院選を勝ち、下地を作ったあとに第一次安倍政権時にできなかったリベンジをやるタイムスケジュールでした。総理として靖国に行けなかったことは、安倍さんの中での悔しさの優先順位トップで、それを絶対にやりたいということで、今回の参拝になりました。
考えなければならないのは、靖国の問題は安倍さんでなくても常にこれからずっと続くわけです。今まで総理大臣が行けば、公人か私人かという議論が起こり、行ったら中韓が騒ぐということを繰り返してきた歴史がありますから。
私は、そろそろこの問題を根本的に解決しなければならないと考えます。靖国とは何か、合祀は何か、分祀は何か、という本質的な議論を政治の世界で行わなければ、この問題は永遠に解決しないと思います。
第二次世界大戦で日本は加害者であるという贖罪意識が、多くの日本人の心にはあるわけです。東京裁判の有効性の議論は置いても、加害側の責任者とされたA級戦犯の合祀・分祀という靖国問題の根本は、政治の世界でタブー視されてきて、堂々と議論されたことがないのです。いろんな意見をテーブルに乗せて日本人皆が靖国を考えるという機会を、勇気をもって政治が作り、タブー視する時代を終わらせるべきでしょう。予算委員会で集中審議をしてもいい、第三者機関を作ってもいい、全国の公聴会など方法はあるのですから。
実は、麻生(太郎)内閣の時に、真剣に合祀問題をどうするのかというのを麻生さんなりに調べたりしていたのです。分祀の可能性はどうなのか、A級戦犯の遺族の方たちにいろんな形で接触をしていました。靖国問題の根本である、合祀・分祀の問題を解決しなければ、この問題は永遠に続くからということで、麻生さんが陰でやっていたのです。
今回、安倍さんが参拝したのですから、行きっぱなしではなく、この根本問題の議論を政治の場に作ってほしいと思います。それこそが安倍さんにしかできないことでしょう。