走行車線から追越車線に突然、割り込んでくる大型トラックや大型トレーラー。前回は帰省時やUターンの際に一般ドライバーやペーパードライバーを襲う「死の大クラッシュ」について警鐘を鳴らしたが、中にはわざと追越車線に唐突かつ低速で割り込んでくる「愉快犯トラッカー」もいるというから、いっそうの注意が必要である。
元トラッカー(トラックドライバー)の運送業界関係者も、次のように指摘する。
「年末年始の高速道は帰省ラッシュやUターンラッシュなどで渋滞し、仕事で荷を運んでいるトラッカーはみな強いストレスを感じているわけです。そして、一部のトラッカーの中には、渋滞区間を抜け出るや、わざと追越車線に割り込んでは一般のドライバーらを驚かし、その鬱憤を晴らそうとする『愉快犯』もいる。多くの場合、追越車両との距離や追越車両の速度を見極めて割り込みを行うため、実際に追突事故に至るケースは極めて稀ですが、追越車両のドライバーは血の気が引く恐怖を味わうことになります」
実際、危険極まる割込み行為の一部始終を仲間のトラッカーに自慢気に話す愉快犯はいるという。運送業界関係者が続ける。
「現役時代、私もサービスエリアで耳にしたことがありましたが、あるトラッカーは『今日は4台、ヒビらせてやった』と、仲間に戦果を吹聴していました。『仮に追突事故が起きたとしても、悪いのは速度オーバーで追い越しをかけたドライバー、ということになる。こっちは後部バンパーが曲がるくらいで、ビクともしないしね』と楽しそうに話していた、別のトラッカーを目撃したこともあります。ここまでの話になれば、もはや愉快犯ではなく、確信犯ということになってきますね」
もちろん、大多数のトラックドライバーは、意図的な割り込みなど行わない。みな後方の安全を確認した上で、適切に車線変更をしていると言っていい。
ただ、トラックドライバーの一部に愉快犯が存在するのもまた歴然とした事実であり、一般のドライバーが事前に頭に入れておいて損のない知識なのである。