帰省やUターンを含めて、年末年始は高速道路を利用する一般ドライバー、ペーパードライバーが急増する。だが、その高速道路には「死」に直結する「意外すぎる落とし穴」が潜んでいることを忘れてはならない。
中でも、一般ドライバーやペーパードライバーらの盲点になっているのが、走行車線から追越車線に突然、低速で割り込んでくる大型トラックや大型トレーラーの存在だ。
前方の走行車線を、時速70キロで走行する大型トラック。そこで追い越しをかけるべく、走行車線から追越車線に車線変更し、120キロまで急加速したその時、突然、大型トラックが70キロのまま追越車線に割り込んできた。大型トラックとの速度差は50キロ。慌ててブレーキを踏んだが間に合わず、ほぼそのままの速度差で追突し、大クラッシュ──。
これが一般ドライバーらを襲う「死のワナ」の典型例である。
加えて17年以降、警察庁は新東名などの一部区間を対象に、それまでの制限速度を100キロから110キロ、さらに110キロから120キロへと、段階的に引き上げてきた。そして制限速度の引き上げ区間は、現在も拡大されつつあるのだ。
交通事故の発生メカニズムに詳しい専門家も、次のように警鐘を鳴らす。
「制限速度120キロ区間で追い越しをかけた場合、追い越し時の速度が140キロを超えることもあります。道路交通法上は確実に違反にあたる速度ですが、瞬間的に140キロを超えるケースは珍しくありません。一方、大型トラックや大型トレーラーの制限速度は80キロのまま据え置かれていますから、例えば70キロで走行する大型トラックに140キロで追い越しをかけた場合、大型トラックと追越車両との速度差は、実に70キロにも達する計算になります。この速度差で追突に至れば、確実に死亡事故となるでしょう」
追越車線への車線変更時、大型トラックや大型トレーラーのドライバーは、バックミラーで追越車両との距離を確認しているはずだが、追越車両の走行速度を瞬時に見極めることはなかなか難しい。その結果、追越車線に割り込んだ車両と追越車両との距離は瞬く間に詰まり、悲惨な事故に至ると指摘するのだ。
これを回避するには、大型トラックが割り込んでくることを想定した上で、ゆっくりと追い越すことが最大のポイントになる、ということだ。