日本国内で鳥インフルエンザに感染した鶏の殺処分が、激増の一途を辿っている。原因の大半は高病原性の鳥インフルエンザによるものとみられ、1月10日時点での殺処分数は過去最多の1000万羽を超え、さらなる記録更新も確実な情勢と言われている。
だが今回の災厄は、養鶏場の鶏に限った話ではない。ウイルス感染症の専門家は、
「N5H1型と呼ばれる遺伝子変異を持つ高病原性の鳥インフルエンザは、これに感染した鶏に濃厚接触したヒトにも感染することが確認されています」
こう明かした上で、次のように警鐘を鳴らすのだ。
「その場合のヒトの致死率は、およそ50%とされています。ただ、これまでは感染例が稀で、死亡者数も少ないことから、ほとんど問題視されてきませんでした。ところが、渡り鳥から家禽の鶏への感染、同じ家禽の鶏から鶏への感染、そして家禽の鶏からヒトへの感染といった具合に、これまで局所レベルに留まっていた高病原性の鳥インフルエンザが、養鶏場の鶏から鶏への感染爆発という異常事態によって『ヒトからヒトへの感染』をもたらすウイルスへと変異を遂げる危険性が非常に高まってきているのです」
実は致死率が50%にも達すると言われる恐怖の高病原性鳥インフルエンザの「ヒトヒト感染」の兆候は、すでに確認されている。ウイルス感染症の専門家が続ける。
「例えば北海道の札幌では、高病原性の鳥インフルエンザに感染して死んだ鳥の死肉を食べたと思われるキタキツネやタヌキなど、哺乳類への感染が報告されています。多種多様な哺乳類への感染がじわじわ拡大しているということは、同じ哺乳類であるヒトにもそれだけ移りやすくなっていることを意味しており、高病原性鳥インフルエンザの変異もまた、それだけ進んでいると考えられるのです。麻雀で言うなら、テンパイ状態。N5H1型と呼ばれる恐怖のウイルスによる感染爆発は、時間の問題と言っていいでしょう」
高病原性の鳥インフルエンザに限らず、ウイルスによる感染爆発、そしてパンデミック(世界的大流行)は「ヒトヒト感染」によって引き起こされる。
致死率50%といえば、新型コロナの比ではない。メディアは鶏の殺処分で「卵の値段が上がった」「鶏肉の値段が上がった」などと騒いでいるが、その裏には日本人のおよそ半分を死に至らしめる恐怖の新興感染症のリスクが存在していることを忘れてはならない。