年末年始に欠かせないのが「鶏肉」だ。クリスマスといえばチキンだし、正月の関東風雑煮には鶏肉が入る。
だが、スーパーに行くと、鶏肉売り場のスペースは3分の1ほどに縮小している。それどころか、牛丼チェーンの松屋では、看板の牛丼を差し置いて人気No.1メニューの「ごろごろ煮込みチキンカレー」も販売終了だという。忘年会とクリスマスのかき入れ時というのに、蕎麦屋やフレンチレストランからは、鴨肉料理も消えた。一体どうなっているのか。
新型コロナ第8波に隠れる形で、今年は日本国内の高病原性鳥インフルエンザの当たり年になっているのだ。すでに12月22日現在、22道県47カ所の養鶏場などで確認され、700万羽超が処分された。過去最高だった20年度の987万羽を上回るのは確実とみられている。
感染拡大は観光地や動物園にまで広がり、埼玉県宮代町の東武動物公園は、飼育中のヘビクイワシとコブハクチョウが鳥インフルエンザに感染した可能性が高いとして、12月22日から臨時休業している。
11月にはツルの越冬地として知られる鹿児島県の出水平野でも、衰弱あるいはすでに死亡して回収された個体が観測史上初めて1000羽を超え、和歌山県白浜のアドベンチャーワールドでも飼育していたアヒルら63羽が殺処分となった。
「高病原性鳥インフルエンザの流行は世界的規模で、アメリカでは春から感染が拡大。過去最悪となる5700万羽の養鶏が処分され、クリスマスシーズンを前に、七面鳥と卵の価格が例年の2倍にまで高騰しました。農水省は北米やフランス、ベルギーといった感染拡大地域からの、養鶏や鴨等の輸入禁止措置をとっています。このため、蕎麦屋やフレンチレストランからカナダ産、フランス産の鴨肉が消えているのです」(流通関係者)
新型コロナや新型インフルといった殺人変異ウイルスの発生源は、住居内でニワトリとブタを飼育する中国内の農村部だというが、医療ジャーナリストの那須優子氏が言うには、
「中国には野生の動物を生で食べる食文化もありますから、人畜共通感染症が発生する。鳥にしか感染しなかったウイルスが家畜や野生動物に感染し、その家畜や野生動物から人間へと感染する突然変異の条件が、中国内陸部には揃っているのです。その中国で、高病原性の鳥インフルと、新型コロナの感染爆発が同時に起きているのは、かなり危険です。新型コロナとは別の殺人ウイルスが出現するかもしれません。それと不気味なのが、北米で流行中の犬インフルエンザです。野生のオオカミや飼い犬の被害が出ています」
どうやら23年もまた、次から次へと出てくるウイルスに振り回されそうである。