ここ数年、米軍のパイロットなどによる「UFO(未確認飛行物体)」の目撃情報が激増している。そんな中、特別チームを設けて調査を続けてきた米国防総省は1月12日、分析結果をまとめた年次報告書を公表した。
報告書によれば、目撃件数は2021年の初調査で判明した144件から、510件へと大幅に増加。このうち新たに報告された336件の目撃情報について、報告書は「163件は風船」「26件はドローン(無人小型機)」「6件はレーダースクリーンの乱れ」と結論づけたが、残る171件については「性質がつかめず、帰属もわからない」としている。
しかも、未特定のUFOの中に異常な飛行特性やパフォーマンスを示したものがあったことから、今回の報告書は世界各国の軍当局者やUFO研究家らの強い関心を呼び起こすことになった。米国通のUFO研究家が解説する。
「報告書はアメリカの国家情報当局を通じて公表されましたが、国防総省は未特定とされたUFOを『仮想敵国の秘密兵器である可能性が高い』と考えています。平たく言えば、ロシアや中国をはじめとする仮想敵国が、秘密兵器の性能を試しているということです。昨年、国防総省が調査特別チームを設立した際も、情報安全保障防衛を担当するロナルド・モートリー次官は『未特定UFOの正体を突き止めるまでは、敵対的なUFOかもしれないと仮定し、その可能性を真剣に受け止めなければならない』と述べていました」
だが、未特定UFOがいわゆる「宇宙人による空飛ぶ円盤」である可能性が、米国防総省によって完全に否定されたわけではない。UFO研究家が続ける。
「正体の特定に至らなかったUFOについて、今回の報告書は『目撃情報のうち地球外からの活動と結びつけられるものはなかった』としています。しかし、21年に最初の報告書が公表された際、アメリカの政府高官は、目撃されたUFOが『地球外生命体の乗り物』である可能性を否定することはできない、との見解を示しています。そして同様の見解は、現在も国防総省内や国家情報当局内で共有されているのです」
UFOは「仮想敵国の秘密兵器」なのか、はたまた「宇宙人による空飛ぶ円盤」なのか。真相を巡る波紋は広がるばかりである。