フジテレビの永島優美アナウンサーが言及した「博多ストーカー殺人事件」の問題点が論議を呼んでいる。
永島アナが出演する情報番組「めざまし8」では1月19日に、福岡市のJR博多駅近くで会社員・川野美樹さんが刺殺され、飲食店従業員・寺内進容疑者が逮捕された事件が報じられた。
川野さんは以前、寺内容疑者と交際していたが、別れを告げた後も待ち伏せやつきまといを受け、福岡県警に複数回、相談。11月にはストーカー規制法に基づく禁止命令が寺内容疑者に出され、川野さんには緊急通報装置が渡されていた。警察は川野さんに被害届の提出を勧めるも、川野さんが「大ゴトにしたくない」として提出には至っていなかったという。
番組ではコメンテーターが「ストーカー被害に遭っていると思っている人は、迷わずに相談するべき」との意見を述べると、永島アナは次のようにコメントした。
「そういったところは本当に大事になってくるかと思います。今回、相談していたにもかかわらず、こういった悲しい事件が起きてしまったというのは、本当に残念でならない。絶対に繰り返してはならないと思いますので、そういった意味でも、より厳しく取り締まる必要があるのではないかというふうに感じます」
このあまりに通り一遍な発言に首をひねるのは、社会部記者だ。
「警察は必要な処置をとっているように見え、現在のストーカー規制法では、これ以上は何かコトが起きない限り、動けない体制を敷いていました。それに対し、永島アナは『厳しく取り締まる必要がある』と言っているわけですが、ではストーカーをいきなり逮捕せよ、ということなのか。真意がわかりません」
主に事件を取材するジャーナリストも、
「一見、真っ当な指摘に聞こえますが、これは司法に踏み込む発言でもある。より厳しく取り締まる必要があるとは何を指すのか、具体的に言うべきではないでしょうか。判で押したような無責任なコメントではなく、もう少し建設的な意見が出てもよかったのでは」
とはいえ、警察が必要な措置を講じたとしても、最悪の事態は起きてしまった。被害者、そして遺族の立場からの、永島アナの発言と気持ちは理解できる。
ただ、問題提起をするのであれば、ストーカー規制法の中身と限界について踏み込んだ意見を…というのは、キャスターには荷が重すぎるのか。
(ケン高田)
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