時は昨年の6月までさかのぼる。栗山監督は04年のアテネ五輪出場権をかけて03年のアジア地区予選で日本代表チームを率いた、巨人の長嶋茂雄終身名誉監督(86)と会談する機会に恵まれた。その模様は、22年10月3日放送の「GET SPORTS」(テレビ朝日系)で放送されている。
「次女の三奈と栗山監督のキャスター時代からの繋がりで実現したようです。そこでミスターから伝授されたのは『すべてチームのために』という“フォア・ザ・チーム”の精神でした。つまり、選手のためにチームがあるのではなく、チームのために選手がいるという采配方針。格下の相手でも全力を尽くすのはもとより、勝利のためには所属球団での立場や役割を超えた働きを選手に求めるものでした」(スポーツ紙デスク)
多士済々の代表メンバーといえども、ポジションや打順を固定する“聖域”はない。とりわけ、先発、第2先発、リリーフ、クローザーの分業体制を敷く投手陣の中で、シャッフルが検討される“令和の怪物”の起用法に憶測が飛んでいる。
「ロッテの佐々木朗希(21)は大車輪の活躍が求められます。メジャー組の出場が危ぶまれる1次ラウンドは先発でしょうが、準々決勝ラウンド以降は第2先発や中継ぎに回ることが想定される。160キロ超えのストレートと140キロ半ばのフォークは海外のメジャーリーガーを含めて最大出力。09年大会で、調子の上がらない藤川球児の代わりにクローザーを務めたダルビッシュのように、佐々木が胴上げ投手になるかもしれません」(NPB関係者)
まさに長嶋監督が94年の「10.8決戦」で、惜しみなく先発の槙原寛己から斎藤雅樹、桑田真澄と3本柱リレーを見せてペナントを制した、スクランブル登板の再現である。
準々決勝からは決勝まで連戦がないため、先発とリリーフの入れ替えが濃厚のようだ。1次ラウンド後と準々決勝ラウンド後にそれぞれ2人ずつ投手の入れ替えも可能となる。
「最終の内定メンバーから落選しましたが、オリックスの山崎颯一郎(24)と広島の森浦大輔(24)は交換要員の筆頭格。すでに2人とも、WBC使用球での調整を続けているようです。先発や第2先発として選出されたメンバーの調子が上がらなければ容赦なく入れ替えられるでしょう。栗山監督が出場意志を確認済みのメッツ・千賀滉大(29)も控えていますからね」(NPB関係者)
一方、野手は故障者でないと代えられないルール。たったの4人しか選ばれていない外野手だが、意表を衝くウルトラCプランが用意されていた。
「メジャー5年間で、通算7試合しか守備に就いていない大谷を5人目の外野手とするプランです。現在、内定している外野手は4人ですが、ソフトバンクの周東佑京(26)を代走要員と考えると、レギュラーのスランプはご法度。日本ハム時代に、大谷の外野守備のセンスは栗山監督も確認済み。エンゼルスのミナシアンGMも『右翼や中堅を守ろうが、抑えをやろうが、不安はない』と太鼓判を押してくれています」(スポーツ紙デスク)
二刀流どころか三刀流の侍を拝めるかもしれない。