歴代最強メンバーが集結したWBC侍ジャパン。09年大会以来の世界一が至上命題となるが、大会前からアゲインストの風に直面している。窮地に立たされた指揮官を救うのは、かつての代表監督の金言だった。
栗山英樹監督(61)が仏頂面のままフリーズしたのは、1月6日のこと。エンゼルスの大谷翔平(28)と同席したWBCの1次メンバー発表会見の一幕だった。スポーツ紙デスクが当日の様子を振り返る。
「質疑応答で一番手に指名された『宮崎日日新聞』の大谷に対する質問でした。2月17~27日に予定している宮崎合宿への参加可否と県民へのメッセージを求める内容でしたが、『合流の日程ははっきりしていない‥‥』と大谷は苦笑いを浮かべるばかりだった。それまではキー局アナウンサーたちの代表質問でニコニコ顔だった栗山監督の表情が、サーッと一変してしまいました」
いささか栗山JAPANの“急所”を突いた質問だったのだろう。事実、この場でメンバー入りを先行発表された大谷、ダルビッシュ有(36)、鈴木誠也(28)の来日日程は明確に定まっていない。スポーツ紙デスクが続ける。
「WBCに参加するMLBのバッテリー組は2月13日、野手組は同16日からスプリングトレーニングがスタートしますが、球団の健康診断を経てすぐさま代表チームに合流とはなりません。本格的にチームが始動する20~21日に『フォトデー』という、メディアやベースボールカード会社向けの撮影行事が控えていますからね。わずか3~4日間のチーム練習のために、米国から宮崎に移動するのは効率的ではありません」
さらに、合宿後半から予定している強化試合へ参加できるかどうかも不透明だ。NPB関係者が耳打ちする。
「NPB主催のソフトバンク、中日との強化試合は、MLB選手の加入する『損害保険』の適用外。そのため、MLBサイドから出場を許可されているのは、WBC管轄で保険が適用される3月6日の阪神戦から。その直前の4日に来日して5日を練習日にあてるのがリアルでしょう。1月20日時点で、早期合流を望むNPBとMLBの間で協議中ですが、他の国も条件は同じ。日本だけ特別扱いが許されるかどうか、難しい点もある」
そのまま要求が通らなければ、メジャー組はなかばぶっつけ本番で3月9日の開幕戦を迎えることになるのだ。
まさに剣が峰の栗山JAPAN。そんな悩める指揮官が拠り所にするのは神でも仏でもない。かねてから尊敬してやまない“ミスター”の金言だった──。