パウンドフォーパウンド世界1位にも輝いた、ボクシング前世界バンタム級4団体統一王者の井上尚弥がスーパーバンタム級に転向したことで、今春にも4階級目のタイトル戦に挑むと、米メディアが報じている。迎え撃つのは、WBC・WBO王者のスティーブン・フルトン(アメリカ)だ。
井上はたしてスーパーバンタム級で勝てるのか、との論議が噴出する中、元WBA世界ライトフライ級王者の渡嘉敷勝男氏がズバリ予言した。
「(井上が)パワーでは勝ってますよね。スピードはいい勝負なんで、どっちが早く当てるか。当て勘の良さは、どっちもあります。だから面白い試合にはなりますよね」
自身のYouTubeチャンネル〈「渡嘉敷勝男公式」トカちゃんねる〉でこう評した元王者は続けて、
「井上チャンピオンは強さの上に、運も持ってますから。この(素早い)動きの中で、スパンスパンスパンって強いチャンピオンに(パンチを)当てれるっていう。そこはフルトンよりも持ってると思いますね。フルトンはバンバン打ってくる。巧いんですけど、結構ガードが下がるんで(そこを打ち抜く)井上チャンピオンのテクニックが生きるんだと思いますね」
フルトンは21戦21勝(8KO)無敗。21年1月23日、WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチでは、当時無敗のアンジェロ・レオ(アメリカ)を3-0の判定で退け、王座を獲得。同年11月27日、WBC・WBO世界スーパーバンタム級王座統一戦でも、無敗のブランドン・フィゲロア(アメリカ)に判定勝ちしている。
渡嘉敷氏の結論は、
「井上が負けることはないと思う」
これに対し、異を唱えるのは「ブレッドマン」の異名を持つアメリカのトレーナー、スティーブン・エドワーズ氏だ。フルトンVS井上戦を、次のように分析してみせた。
「イノウエは108ポンド(ライトフライ級)から始まって、初戦の相手になるだろうフルトンは、122ポンド(スーパーバンタム級)から始まっている。フルトンは体重の割に大きいので、それを考えると無理な注文だと思う。フルトンに比べて堂々とした体格ではないドネアより、イノウエは小さく見える」
なるほど、それも一理ありという見解だ。井上の挑戦を悲観的にみるエドワーズ氏は、仮に井上が勝利した場合、それがどれほど凄いことなのかについて、
「フルトンに勝てば、井上はマニー・パッキャオに次ぐ、アジアで2番目に偉大なファイターとなる。2020年代の10年間における、最優秀選手の候補になる」
スーパーバンタム級転向で初めて噴出する、井上に対する不安評価。だがバンタム級時代には、5階級上となるスーパーライト級のフィリピン人選手とのスパーリングで、スタンディングダウンさせたことがある。それだけに、4階級目も体格差をモノともしない圧倒的なパワーで「モンスター」ぶりを証明するかもしれない。
(所ひで/ユーチューブライター)