今週から東京に開催が移る。その開幕週のメインは根岸ステークスだ。
今開催の締めに行われる今年最初のGIフェブラリーSの前哨戦(1着馬に優先出走権が与えられる)で、本番よりも1ハロン短い1400メートルでの競馬。ダート界は層が厚く、すでに本番の出走権を得ている馬は、前哨戦を挟まず直行するケースが多い。
なので、ここで勝ち負けすれば本番でも──と言える馬は意外に少なく、マイル戦がベストの距離とは言いがたい、つまり、7ハロン戦が最も力を発揮できるとみられる馬に目を向けるのが馬券的な筋と言っていい。
直線の長い東京コースがよく、しかも距離適性が高い馬。そうした視点に立って浮かび上がるのは、アドマイヤルプス、ケイアイターコイズ、テイエムサウスダン、タガノビューティー、レモンポップなどだが、穴党として大いに注目したいのは、セキフウだ。
ダート界は芝のレースに比べて高齢馬の頑張りが目立つ。このレースも5歳、6歳馬がよく連対を果たしているが、セキフウは明け4歳馬。古馬には自力で見劣るかもしれないが、今が成長期で伸び盛りであることを思えば、少ない出走枠を得た以上、期待しないわけにはいかない。
強烈な末脚が身上で、マイル戦も〈0 2 0 2〉と十分に守備範囲だが、1400メートルで〈3 0 1 0〉の実績が示すとおり7ハロン戦がベスト。この馬にとってここは、力を発揮できる最も条件がそろった舞台と言っていいわけだ。
韓国遠征帰りの初戦となった武蔵野Sは12着に凡走。ひと息入れた2カ月ぶりの競馬で、前走比プラス8キロと、やや重め残りの状態だったが、前走のスバルSの内容は実によかった。
背負う斤量は武蔵野Sから3キロ増の58キロだったにもかかわらず、メンバー中最速の上がり脚を見せ、勝ち馬とコンマ3秒差の3着。力があればこそで、高い評価を与えるべきだろう。
東京での勝ち鞍はないが昨年のGIIIユニコーンSでクビ差2着があり、ダートの短距離を得意とするヘニーヒューズ産駒。母系も欧州の一流血脈だ。
前走後はここを目標にしっかり調整ができており、「前走以上の状態」(武幸調教師)とあっては、狙わない手はないだろう。
一方のシルクロードSもなかなかの好メンバーがそろった。激しくも見応えある競馬が見られそうだが、馬券的にはハンデ戦でもあり、難解な重賞である。
悩むところだが、狙ってみたいのは、シャインガーネットだ。
前走のラピスラズリSは2分の1馬身差の2着に敗れたが、3カ月ぶりの実戦だったことを思えば、評価していい内容だった。
今回も2カ月ぶりと、ひと息入ってはいるが、短期放牧を挟んでしっかり調整できており、臨戦態勢は整っている。1週前の追い切りでも軽快かつリズミカルな動きを披露。仕上がり状態のよさを誇示していた。
仕上がり早の牝馬で鉄砲駆けの利くタイプ。中京コースは〈1 1 0 2〉と相性がよく、昨年も2着に好走している。
その際も2カ月ぶりの実戦だったが、豊富な稽古量からして、当時と同じか、それ以上の状態とみている。晴雨にかかわらず、期待したい。