「ちいかわ」が空前のブームを起こしている。
東京の渋谷、吉祥寺、池袋、大阪の心斎橋、静岡や名古屋など全国で開催されている「ちいかわ飯店」なるものの予約が、ヒゲダンのライブより取れない、と話題沸騰なのだ。しかも、肉まんとドリンクといった簡易メニューしかないのに、会社を休んでまで何度も足を運んでいる大のオトナもいるという。
ちいかわとは、正式名称は「ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ」という動物マンガのこと。主人公はなんの動物なのかは不明。相棒はうさぎのハチワレという子だが、みんな仕事をして暮らしているという設定だ。
この作品は、イラストレーターのナガノによるもので、2020年よりTwitterにて連載開始。2021年に単行本化され、昨年末の時点で、電子版を含め累計部数100万部以上を突破している人気キャラクターだが、それほど大人を夢中にさせる理由は何か。漫画編集者が解説する。
「小さくてなんだかわからない生き物が、ほっこり生きているかと思いきや、彼らはモンスター征伐でお金を稼いで暮らしていたり、受験があって自分は受からず友だちだけが受かったり、なんだか生きることの大変さと現実を描いているんです。だからかどうか、男性ファンも多いんです」
例えば、ちいかわの友だちのハチワレが、カチョエペペを食べて何かを討伐しに行く、というストーリーの回がある。何を討伐するのかは明かされず、何より「カチョエペペ」というのが気になってしまう。
「それをググる人が急増し、トレンドに上がったカチョエペペをググったら、結局はちいかわに戻る、といった循環が起きています。ちょっと知的でオシャレなところがあるのもいいのでしょう。日本人はほっこりしたキャタクターが好きですが、より現実的な部分も入っている点が好まれているのだと思います」(前出・編集者)
息が詰まるようなこの世の中で、小さくてかわいいけど、実は苦労している、というキャラに自分自身を投影している人が多いのかもしれない。