不良のエピソードで、金属バットや鉄パイプで襲われた、みたいな話を耳にすることはあるが、芸人ともなると、なぜかその上をいく。「拳銃を突き付けられた」体験談がけっこうあるのだ。
おぎやはぎの小木博明は、サイパン旅行で仲間とレンタカーを借りてドライブ。「イエーイ!」と叫びながら、バカ騒ぎをしていた。
「ちょうどその時、サイパンの2大チームがケンカしてる時で、騒いでいる俺らを相手のギャングが敵対ギャングだと思って。縄張りにちょっと入っちゃったんだろうね。それで怒って、ずっと追いかけ回されて」
と、小木は振り返る。
不審な車に付けられていることに気付いた小木は、
「ヤベェってなって。もうちょっと俺らも騒いでいられなくなって、どうしようって」
とりあえず、人の多いところへ行こうということで、ホテルの駐車場に停めたところ、その前にギャングの車が停まり、身動きが取れなくなった。
ギャングはすぐさま車のグローブボックスから銃を取り出し、小木らに向けてきた。
「俺らは『何だこれ!?』って。で、後ろに金網があって、そこに手をかけさせられ、説教されて。『どこのギャングだ』『ジャパニーズ、ジャパニーズ』って。『俺らなんてダメな人間だ』みたいな感じで、本当に情けないヤツらなんだと。それで許してくれたの」
どうにか解放された経緯を、そう語っている。
銃が取り締まられているはずの日本でも、危ない話はある。
ケンドーコバヤシが20歳の頃の、大阪での出来事だ。地下鉄に乗っていると、
「なんか席はけっこう空いてるのに、みんな立ってて。空いてる時間帯なのに。『何や、何や?』と思って近寄って行ったら『これぞワル』みたいな格好したヤツが、大股開きで座ってて。みんな怖がって避けてたのよ」
コバヤシは若気の至りか、その男の目の前にわざと立ったという。
「ほんなら、俺の膝をポーンと蹴ってきたから、足を蹴り返したのよ。『お前、次降りろ』と言われて、『降りたらぁ』って。降りて、カバンをパーッと開けたら、銃入ってて、『あっ』ってなって、『すみません』言うて。銃でガーンって頭殴られた」
コバヤシは頭の皮が剥け、出血までした。
「気ぃ付けや、兄ちゃん」「はい、気ぃ付けます。すみませんでした」
不本意なやり取りをし、加害者はその場をあとにしたという。
(坂下ブーラン)
1969年生まれのテレビディレクター。東京都出身。専門学校卒業後、長寿バラエティー番組のADを経て、高視聴率ドキュメントバラエティーの演出を担当。そのほか深夜番組、BS番組の企画制作などなど。現在、某アイドルグループのYouTube動画を制作、視聴回数の爆発を目指して奮闘中。