キャンプインを1クール遅らせ2月6日にした西武ライオンズに、きな臭いウワサが再燃している。
かつてオーナーだった堤義明氏の不祥事などにより、親会社の西武鉄道が上場廃止(現在は再上場)になって以降、出ては消える「身売り話」が、また持ち上がる可能性が出てきたのだ。ベテラン遊軍記者が打ち明ける。
「オフに森友哉がオリックスにFA移籍したことで、西武の選手がFAで他球団に移った数は20人に。12球団でダントツです。しかも今オフには、主砲の山川穂高や源田壮亮のFA移籍が濃厚になってきた。選手にとっては12球団一の不人気球団となっています。球団がいつ経営に興味を失っても不思議ではない状況なのです」
事実、今後の西武に打つ手は多く残されてはいない。一時は観客増を狙い、フランチャイズを所沢ではなく、人口の多いさいたま市の大宮近辺に移転する話が持ち上がっていた。
だが、移転話は消滅。本拠地・西武ドームを大幅リニューアルすることで落ち着いたが、これでは観客動員に関する問題はあまり解消されない。
「球場の最寄り駅は、西武線の西武球場駅で、所沢からは乗り換えて2駅目。周辺には何もなく、決してアクセスがいいともいえない。確かに所沢は近年発展していますが、大幅に観客を増やすのは難しいでしょう」(スポーツ紙デスク)
主力選手が他球団に流れる大きな要因は年俸だ。近年ではFAで他球団に移籍することで、選手たちの年俸は飛躍的に高くなる。昨季、年俸2億1000万円だった森は、オリックスに移籍したことで4年18億円、1年平均で4億5000万円を手にする。一方、昨季の西武の最高年俸は、増田達至の3億円だ。
今後、観客動員が飛躍的に増え、営業収入が大幅にアップすれば選手たちにも還元されるだろうが、現状ではなかなか難しい。かつて黄金時代を築いた球団が、土壇場に追い込まれていることは間違いないのだ。
(阿部勝彦)