東京にいると、夜の街の風景はここ十数年ほどさほど変化がないように見える。しかし、地方都市に出ると、夜の街は大きく変化していることがはっきりとわかる。平成中期~後期に乱立していたキャバ店が減少し、代わりにコンセプトカフェやガールズバーが激増しているのである。
なぜ、このような現象が起きているのか。関西地方のキャバ店で店長を務める男性は「働き手側の減少が大きな要因にある」と語る。
「7、8年ほどまではカリスマ嬢がメディアや雑誌で取り上げられたりして、『中学生のなりたい職業ランキング』でも上位に入るほど、人気のある仕事でした。ところが令和に入ると安定指向の若者が増え、昔のように水商売だけで食っていこうという子が激減したんです。本気でやる気がある子はみんな東京に行ってしまうので、うちのような地方店は今や学生の腰掛けバイトしかいませんよ」
男性が勤務する店は地元では中箱クラスだが、キャストは年々、減少しているという。若い女性が入店しても、長くは続かないのだ。
「今どきといえばそうなのかもしれませんが、整形費用を貯めるためだけに働く子が増えているんです。だから、数カ月から半年で目標金額に達するとあっさり辞めてしまいます。ひと昔前なら整形して美しくなって、そこからさらに売れっ子になろうという子が多かった。しかし、最近は東京で就職する前に整形したいという理由で働く子が多いですね」
職業としての流行り廃りや、地元を離れて東京で就職したいと考える女性の増加により、固定で出勤するレギュラーキャストが集まらないのだという。レギュラーキャストは指名客を呼ぶ、いわば店の稼ぎ頭。そのレギュラーが長続きしなければ、店の売上にも大きく影響してくる。
「今のままではいずれ店を閉めることになるかもしれない」
と、男性は肩を落とす。レギュラーキャストを集め、新規客をいかに増やすかが、地方の店の大きな課題のようだ。
(カワノアユミ)