X JAPANのYOSHIKI率いるTHE LAST ROCKSTARSが、2月3日にニューヨークでアメリカデビューを飾り、詰めかけた超満員の観客を熱狂させた。
バンドでNIYAVIとともにギターを担当するのが、X JAPAN とLUNA SEA のギタリストSUGIZOだ。SUGIZOは89年、RYUICHI、真矢ら5人でLUNA SEAを結成。ライブ活動をスタートさせる中、目黒のライブハウス「鹿鳴館」で出会い意気投合したのが、98年に33歳で急逝したX JAPAN(当時はX)のHIDEだった。
HIDE を介し、YOSHIKI主催のエクスタシーレコードから91年に発売した1stアルバム「LUNA SEA」は、粗削りながらエネルギー溢れる名盤として、インディーズの枠を飛び越え、大人気を博したものだ。
LUNA SEAとは、ラテン語と英語を掛け合わせた「月と海」という意味。だが、インディーズ時代は「狂気」という意味のLUNACYを名乗っていたからだろうか、まさに「嵐を呼ぶ」いや、嵐を呼び込むバンドとして知られる存在だった。
それはLUNA SEAに改名後も変わらず、91年9月の台風で開演が延期された日本青年館ライブに始まり、93年8月にはメジャーデビュー後の日本武道館2DAYSライブが大型台風襲来で延期。翌年94年12月の横浜アリーナ公演も大雪で遅延するなど、数々の悪天候によるアクシデントに見舞われた。
その極め付きは、99年5月30日。結成10周年を記念してお台場で行われた人数無制限ライブ「LUNA SEA 10TH ANNIVERSARY GIG [NEVER SOLD OUT] CAPACITY∞」。このコンサートは3日前の強風で、ステージセットの巨大な鉄塔が倒壊。本来なら中止を余儀なくされるところだが、アクシデントをパワーに変えてきた5人は「残骸をセットの一部として見せられないか」と提案。結果、瓦礫と化したセットを前にライブを決行、10万人が熱狂するステージを成功させたのである。
LUNA SEAは00年11月、「終幕」を発表したが、10年に活動再開。前後してX JAPAN再始動にあたり、SUGIZOがYOSHIKIから加入のオファーを受けたのは、その2年ほど前だったという。だが当初、彼はどうしてもオファーを受ける気持ちになれなかった。
SUGIZOは18年27日放送の「関ジャム 完全燃SHOW」(テレビ朝日系)で、こう語っている。
「そもそもHIDEさんの後釜のプレッシャーなんか耐えられないと思ったから、断っていたんです。もちろん、いちばん混乱するのはファンのみんなだと思うし。90年代のHIDEさんが生きていたあの伝説の時代を再現するためだったら、僕は必要ないだろうと思っていたんです」
固辞するSUGIZOに対し、YOSHIKIとToshiが「X JAPANを過去のものにするんじゃなくて、今を、そして未来を見たい」と説得。SUGIZOはX JAPANを経て、THE LAST ROCKSTARSへ参加となった。その原点こそが、嵐を呼ぶバンド、LUNA SEAだったのである。
(山川敦司)