芸能

伝説の秘技「笑うギター」の奇行男はビジュアル系色物か/日本音楽シーン「名作裏面史」

 ギタリストのROLLY率いる、通称「グラムロック歌謡バンド」すかんちが、結成40周年を記念して「SCANCH’N 40th FANTASY TOUR」を川崎 CLUB CITTA’など4カ所で開催。そのトリッキーなライブが往年のファンをシビレさせたのは、昨年末のことだ。

 ユニークなバンド名は、彼らが10代の頃、地元大阪のスタジオでバンド名を記入する際、スタッフに「ちんかすトリオ」と書かれてしまったことに端を発するという。

 そんなROLLYも近年はミュージシャンだけではなく、俳優としても活躍。さらに子供を対象としたNHK教育テレビの音楽教育番組「ムジカ・ピッコリーノ」に、アカデミーの学校長「ローリー司令官」としてレギュラー出演。子供たちの間で、ちょっとした人気者となっている。

 とはいえ、90年代のROLLY(当時はローリー寺西と名乗る)は、ギターの表現力においては超一流とされるも、伝説の秘技「笑うギター」(ギターが笑っているかのようにキュルキュルと音をたてるというものだが、誰にも見せたくないと、必ず後ろ向きで弾く)といった、キワモノ的テクを披露するなど、ビジュアル系色物として扱われることが少なくなかった。

 特に93年秋から半年間、レギュラー出演した「笑っていいとも!」(フジテレビ系)では、生放送中に「奥さん、お宅のお米、腐ってますよ」「奥さん、お宅の天井裏で忍者が死んでますよ!」「奥さん、今、お宅が燃えてますよ!」といった問題発言を連発して、スタジオを凍りつかせることもしばしば。そのたびに局には苦情の電話が殺到する、放送事故級の奇行が話題になったものである。

 さて、「ダウンタウンのごっつええ感じ」(フジテレビ系)のテーマソングに起用され、オリコン最高順位23位に輝いたのが、91年12月発売の「恋のマジックポーション」だった。ROLLYのヘビーなギターリフで始まるこの曲は、もろにキャッチーな歌詞の歌謡曲。三十数年ぶりに聴き返してみたが、その完成度には今さらながら驚かされた。キツネの皮を被った狼、というたとえがあるが、まさに「キワモノ」という皮を被った「本物」なのである。

 バンドは96年に解散したが、06年、2日間限定で再結成。以後は断続的に活動を継続している。「恋のマジックポーション」は昨年の「SCANCH’N 40th FANTASY TOUR」でももちろん演奏され、大喝采を浴びた。「グラムロック歌謡」という言葉を改めて知らしめることになったのである。

(山川敦司)

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