最強・侍ジャパンにも、やはりアキレス腱がある。3月に日本で開幕するWBCで世界一奪回を目指す侍ジャパンに、今更ながら不安の声が漏れているのだ。
2月17日からの宮崎合宿に参加している外野手が近藤健介、周東佑京のソフトバンク所属2選手しかいないからだ。ベテランのプロ野球遊軍記者が、不安要素を口にする。
「本大会になれば、鈴木誠也や吉田正尚、日系のラーズ・ヌートバーという現役メジャーリーガーも加わります。とはいえ、2月25日、26日に行われるソフトバンクとの2連戦には間に合わない。そのため、巨人の重信慎之介ら3選手を、サポートメンバーに選んでいます。でも、彼らは3月末の開幕に向けて調整中の選手。あまり役に立つとは思えませんね」
近代野球はデータに基づき、内野手も外野手も打者ごとに守備位置の指示が出ることが多い。場合によっては1球ごとに細かく守備位置の修正指示がある。
WBCの対戦国はアメリカやドミニカなど、強豪国ぞろいだ。いくら侍ジャパンのメンバーが一流選手ばかりとはいえ、キャンプ中に練習やミーティングを通じて意思の疎通を図る作業は必要だ。ある程度の時間がかかることは覚悟しなくてはいけない。
栗山英樹監督は「(開催地の)日本とアメリカで(メンバーが)違うことも考えている」と、戦力、コンディション面を考慮した上での入れ替えを示唆している。
だが実際に今回のサポートメンバー3選手が、入れ替えメンバーとなる可能性は低い。時期的にも侍ジャパンメンバーにふさわしい選手を呼ぶのは難しい。
「三塁には三冠王・村上宗隆がいるため、先発出場が難しい巨人の岡本和真はレフトの守備練習をしています。故障のリスクがあるわけですが、それでも外野手の数が足りなくなる可能性がある。さすがの栗山監督でも、日米で経験があるとはいえ、大谷を外野手で出場させるわけにはいきませんからね」(前出・遊軍記者)
アリの一穴より崩れる、とのことわざもある。不安要素を抱えながら世界一に輝けるほど、WBCは甘くはない。
(阿部勝彦)