芸能人の“ガチゲンカ”を実際に目の当たりにすることなど稀有である。しかし、カメラは、怒りで我を忘れた有名男女の決定的瞬間を捉えていた。
「最近、彼氏と別れたらしいな」
コトの発端は、「タモリのいたずら大全集」(日本テレビ系・88年)で、大竹まこと(65)が放ったひと言だった。容赦ない暴露をされた山瀬まみ(44)はバラエティ初出演で、事前に「恋愛話NG」のお達しが出ていたのである。最初は軽くいなす山瀬だったが、しだいに口論に発展。ついに山瀬は怒りに任せ大竹を蹴った。ところが次の瞬間──。
「キャー!!」
逆ギレした大竹は山瀬を押さえつけ、ショートパンツに手をかけると一気に脱がしてしまった。号泣する山瀬を尻目に、大竹は手当たりしだいにセットをぶち壊したから、スタジオは騒然。これで大竹は20年間、日テレを“出禁”となった。
“公開暴行”寸前の暴挙を働いた芸能人がいたとは驚きだが、“女泣かせ”であれば、島田紳助(58)も負けてはいない。
「新伍・紳助のあぶない話」(フジ系・92年)に、当時人気絶頂だった細川ふみえ(42)が登場した。スタッフが細川の母親から了承を得て借りたという、昔の日記帳を紳助が読もうとすると、パニックになった細川は「プライバシーの侵害で訴えますよ!」と拒絶。この口答えで、紳助の怒りに火がついた。
「オンエアはされませんでしたが、『お前、頭悪いな。こんなもん恥ずかしいって、チチ半分出して商売してるほうがよっぽど恥ずかしいわ! ドアホ!』と、大人気なく激高したんです。細川さんは悔しさと恐怖からか、目に涙をためていたといいます」(芸能記者)
女性相手にも容赦しないのが“紳助イズム”である。
そんな紳助が兄のように慕っていた、やしきたかじん(享年64)も数多くの武勇伝を残してきたが、なんと、あの立川談志(享年75)にまでケンカを売っていた。
95年、「たかじんnoばぁ~」(読売テレビ・95年)に談志がゲスト出演。しかし、酒を飲みながらのトークが下ネタに及ぶや、
「下品な番組だなあ」
と吐き捨てた。すると、たかじんが立ち向かい、
「文句あるんか! やるっちゅうなら表に出んかい!」
と、“本物”さながらのすごみを利かせたのである。年上の談志が、
「誰に向かって口をきいてるんだ!」
と激怒したのも当然だが、たかじんはひるまなかった。
「おのれじゃ!」
と声を荒らげると、なんと談志に灰皿を投げつけたのだ。
「番組はそこで収録中止に。放送禁止ギリギリがウリの番組でしたが、のちに発売されるDVDにも収録されずお蔵入りとなったほど、笑えない修羅場でした」(在阪テレビ局関係者)
一方、笑わせようとしたことが裏目に出て、災いを呼んでしまった芸人もいる。
「オールスター☆夢祭り超人気番組が大集合!」(日本テレビ系・04年)に出演した陣内智則(40)が初共演のガッツ石松(65)の天然ボケに「何を言うとんねん!」と頭をどついてツッコんだ、その時だった──。
条件反射か、ガッツの“秒速左張り手”が陣内の側頭部に炸裂! 続けざまに右張り手をお見舞いされると、陣内は笑顔で、
「すみません! ちっちゃいモメ事です」
とフォローしたが‥‥。
「『いいかげんにしろ!冗談にもほどがあるだろ!』と激怒したガッツは、陣内に蹴りを入れると、本番中にもかかわらずスタジオをあとにして、帰ってしまったんです。当然、この場面はカットされました」(バラエティ番組スタッフ)
のちに2人は「行列のできる法律相談所」(日テレ系)で共演し、和解している。
これに対して、遺恨を残したままなのが、「夜のヒットスタジオ」(フジ系・87年)での五木ひろし(66)と久保田利伸(51)である。あろうことか、五木が久保田を後ろから蹴り上げたのだ。
当時はそれほど話題にならなかったが、その後、「おしゃれカンケイ」(日テレ系)に出演した久保田が、
「ガンガン蹴ってくる人がいて、『お前、俺より目立つな』ってことなんでしょうね。『小さいやつだな』と思いました」
と暴露したことで話が広まった。
「それで五木さんが陰湿な新人イジメをした印象になりましたが、真相は本番中にガムをかんでいた久保田さんに五木さんが注意しただけなんですよ」(レコード会社関係者)
番組が終了しても因縁バトルは語り継がれている。