国内で3000万人ものの患者が悩まされているという「腰痛」。突然腰が痛くなり、動けなくなってしまうのが「ぎっくり腰」だ。正式には「急性腰痛」と言われ、西洋では急激に痛みが生じることから「魔女の一撃」と呼ぶこともある。
「ぎっくり腰」は様々なきっかけで発症する。例えば、重い物を持った時、洗顔後に顔を上げた時、靴下を履こうと身を屈めた瞬間など、些細なきっかけで起きるケースも多いので注意が必要だ。
特に、まだ寒い時期に気をつけたいのが「腰の血行不良」による「ぎっくり腰」だ。寒さによる血行不良で、骨盤まわりの筋肉は硬くなってしまう。そのため、腰の筋肉の柔軟性が低下して筋膜などに痛みを発症するのだ。発症すると、2~3日は激痛で動くのもままならない状態が続き、その後徐々に痛みが軽くなり、1~2週間ほどで自然に回復していく。
「ぎっくり腰」は、一度発症すると癖になってしまい、何回でも発症するのがやっかいな点だ。予防で重要なのが姿勢を見直すこと。最も「ぎっくり腰」になりやすい姿勢は「腰を曲げる姿勢」。
前述したように足元の物を拾う時など、日常的にこの姿勢を取らなければならないシーンは多い。しかし、腰を曲げずに、膝を曲げて腰を下ろし、屈んで作業することで回避は可能だ。
少し億劫に感じるかもしれないが、この姿勢だと腰にかかる負担を大きく軽減することができる。
腰まわりを温めることも有効だ。例えば、入浴はシャワーだけで済まさずに、42度程度の湯船にゆっくり浸かることがポイント。体の芯から温まり、腰の血行が促進され、筋肉をほぐすことができるのだ。この方法は、ぎっくり腰だけでなく、腰痛全般の改善にも適応できる。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。