寒い冬には「めまい」が増加するのをご存知だろうか。最大の原因は「冷えによる血行不良」だ。寒さで血管が収縮すると血流が悪くなり、全身に酸素や栄養が行き渡らなくなるのだ。
特に、脳や耳は体の平衡感覚を司る役割を果たしているので、血流が悪くなると、体の平衡を保つ機能が低下してめまいを発症する。また、冬の寒さで首の筋肉が硬直してしまうことも血行不良の要因だ。この「めまい」は、頭痛を伴うケースもある。
対策はまず、体を冷やさないこと。特に平衡感覚を司る耳の周囲を温めることが有効と言われている。耳を外気にさらさないためにマフラー、帽子、耳あてを身につけるのもいいだろう。
「暖房病」もめまいの原因とされている。聞き慣れない病名だが、これはエアコンやストーブなど、暖房器具の効きすぎによって起こる体の不調全般を指している。暖房で温められた部屋の空気は上昇するため、足元は冷えていても頭部は過剰に温まってしまうことで、めまいを発症する。「暖房病」は、めまい以外にも頭痛やのぼせ、吐き気、眠さの症状としても現れる。
予防は、「頭寒足熱」と言われるように、足元を中心にした防寒を徹底することがポイントだ。屋内でも靴下やブランケットを活用して足元が冷えないようにしよう。
部屋中、一定の室温を保つためにはサーキュレーターを使用することも効果的だ。サーキュレーターで直線的な強い風を起こすことにより、上部に溜まってしまう温かい空気を部屋全体に行き渡らせて、温度のムラをなくすことができるのだ。
「血行不良」や「暖房病」以外にも脳や耳などの病気が原因の場合があるため、症状が治まらない場合には必ず専門医を受診しよう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。