社会部記者が解説する。
「実は、ルフィ強殺団による犯行については、ほぼ指示系統は明らかになりつつある。現状、実行犯36人の逮捕で主要なグループメンバーは身柄を確保しているほか、指示役の『キム』と直接連絡を取っていた監視役として昨年10月に発生し約3500万円が奪われた東京都稲城市の強盗事件と昨年12月に3000万円の金品が奪われたた中野区の事件に関与したとして逮捕された大古健太郎容疑者(33)をキーマンと見ています。大古容疑者は完全に黙秘している状況で自供は難しいと判断。そこで、まずは外堀を埋め始めた。ルフィ強殺団の実行役が所持していた携帯電話の解析を進めたところ、あらゆる命令系統で、この大古容疑者に行きつくことが判明。彼こそが実行役のトップにあたる人物ではないかと見て捜査を慎重に進めています」
では、肝心の「黒幕」ルフィは本当に今村容疑者なのか。さる捜査幹部は、「4人組はルフィと一体の存在だ」とその「正体」を分析する。一体どういうことか、続けてもらおう。
「実は、ルフィというコードネームは17年12月の事件で渡邉が詐欺の容疑で国際手配されて、拠点をタイからフィリピンに移動してから使っていたという認識だ。当時の渡邉のグループは警察官や銀行員を装った『かけ子』のグループが高齢者に電話をかけて暗証番号を聞き出し、国内の『受け子』のグループがキャッシュカードなどを詐取する犯行を繰り返していたが、その際に、ルフィというコードネームが登場するんです。つまりルフィというのは、今村容疑者だけが使っていたコードネームではなくて、複数の指示役が一般的に使っていた名称だった可能性が高い。現に今もルフィを名乗る闇バイトのリクルーターもいるほどで、あくまで4人組が先導した犯行であるとみるのが妥当でしょう」
とはいえ、フィリピン国内やタイなどでも依然として特殊詐欺や架空の投資話のほか、仮想通貨詐欺など、あの手この手の悪だくみを図るワルが後を絶たないという。
「フィリピンには依然としてルフィ強殺団の残党が棲息しているともっぱら。すでに新たな特殊詐欺グループを準備しているという話もあるほどです」(ジャーナリスト)
果たして全容解明はなるのか。警察の威信が問われることになりそうだ。