しかし、このようなリストはどうやって作られるのか。アサ芸は、かつてその作成に携わったことがある人物、X氏への接触に成功。情報源の秘匿を絶対条件に、X氏が語る。
「最近、一番多いのは地域の町内会名簿をもとに作るやり方だよ。実は町内会名簿や自治会名簿と呼ばれるものは、その地域の図書館に行けば簡単に閲覧できる。複写するなりして手に入れたら、今度はその住所をグーグルマップで調べてあたりをつけるんだ」
グーグルマップの機能「ストリートビュー」は、住所を入力すれば、現地に足を運ぶことなく、その場の映像を見ることができる。つまり、家屋の見栄えや所有する車種などから、どれくらい資産があるのか、ある程度の把握はできてしまうのだ。
今回、アサ芸が掲載したリストも、X氏経由で入手したものだ。住所の欄に「丁目」「番地」以降の数字しか記載されていないのは、「○○区××町」まで全件同一だからにほかならない。
「そうなれば、あとは個別調査だよ。金を持っていそうな家に絞って、下見したり電話したりして探っていくんだ」(X氏)
誰がリストを作っているのか、ということについても触れておこう。アウトロー事情に詳しいライターの根本直樹氏が解説する。
「大規模な特殊詐欺集団には、指示役、実行犯の他、調査部隊があり、彼らは入手したリストの詳細を詰めていくのです。また、ターゲットをピンポイントで調査する、あるいは逆に手に入れた情報から『この家はイケる』と標的をピックアップする個人の情報屋もいる。銀行や金融関係の人間と個別に接触して仲よくなり、現ナマを積んで情報漏洩を持ちかけたりするんです。情報屋はリストを1件いくらで売るわけではなく、成功報酬としてアガリの10%程度が支払われます」
一攫千金をたくらむ情報屋は、より精度の高い情報を提供しようと躍起になり、結果、「タタキ専門の名簿屋」として暗躍することになる。その一方で、あらぬところからリストが流出することも。
「例えば資産運用系会社、投資ファンドの利用者リストや、闇カジノの顧客リストなんかが流出しやすいですね。投資ファンドなんかは半グレがまともな会社を装って経営している場合も多いし、闇カジノについては言わずもがなでしょう」(根本氏)
一連の「ルフィ」関連事件においては、金品の強奪ばかりか、実行犯の暴行で90歳の女性が犠牲となった。強盗殺人に直結すると事前に予測していたかどうかは、もはや関係ない。「殺人襲撃リスト」を作成、あるいは流出させた者の罪は極めて重い。