2月25日の「サウジカップデー」(キングアブドゥルアジーズ競馬場)で、27年間の騎手生活を終えた福永祐一。GIIIサウジダービーをエコロアレス(牡3歳)で、GIIIリヤドダートスプリントをリメイク(牡4歳)で挑んだ。今後は調教師として新たなホースマン人生を歩むことになる。ベテランの競馬関係者が、懐かしむように振り返る。
「デビューしてまだ数年ぐらいだったと思うけど、『将来は調教師になりたい』と話していたことを思い出すよ。親が反対する中で騎手になり、2600勝以上を挙げてダービーも3度制した。調教師としても華やかな成績を収めるのはそう簡単なことではないけど、超難関といわれる調教師試験を一発で合格した祐一なら、第二の人生も期待したくなるね」
23年度「新規調教師免許試験」の一次試験を受験したのは133人。突破したのはわずか23人だった。二次試験にも合格し、晴れて調教師になれたのは福永を含めて7人という狭き門。それだけに、一度目の受験で合格したことに、スポーツ紙記者も驚きを隠さない。
「毎年100人以上が受験して、合格者は数人程度。競争率は約20倍と言われています。騎手から調教師に転身した人は過去に多数いますが、近年なら昨年の嘉藤貴行師が2回目で合格。四位洋文師や武幸四郎師もそうですね。また、21年度の蛯名正義師、西田雄一郎師は3回目、村田一誠師にいたっては、6回目での合格でした。現役騎手で一発合格したのは、開業6年目にして、先日のフェブラリーSをレモンポップで初GI制覇した田中博康師以来ですね」
その田中師は31歳の若さで調教師に転身したが、JRAの騎手を見渡せば、福永より年上のジョッキーたちが多数、現役で活躍している。はたして次に調教師になるのは誰なのか。
「現役最年長騎手は柴田善臣で、次いで横山典弘、小牧太、熊沢重文、武豊、内田博幸、田中勝春、北沢伸也という感じです。武は生涯ジョッキーを公言していますし、熊沢も昔のことですが『自分には無理。勉強できないから』って笑っていました。ただ、横山は一度受験したけど落ちて、もう受けるのをやめたらしい。田中勝は昨年受けたけどダメだった、と聞いています。よく言われるのが『試験に本格的に挑戦するようになると、騎乗数が減る』。そういう意味では30年以上、年間300鞍以上乗っていたのに、昨年は91鞍に激減した柴田は、もしかしたら…と思ってしまいますね」(前出・スポーツ紙記者)
昨年11月に岡部幸雄氏の持つ56歳2カ月24日の「JRA最年長勝利記録」を、56歳3カ月7日に塗り替えている柴田善。調教師としての活躍もぜひ、見てみたいものだ。