2月22日、和歌山県白浜町にあるアドベンチャーワールドから返還された3頭のパンダが、中国の成都に到着した。アドベンチャーワールドにはまだ4頭のパンダがいるため、パンダが大好きな子供たちの人気はまだまだ続くとみられている。
「もう何回も来ているので、そんなには行きたくないというのが本音ですけど、子供がねだるし、喜んでいる顔を見るのが嬉しいから来ているんです」(大阪府内の主婦)
大阪市内中心部から200キロ弱、高速道路も通じているため交通の便は悪くない。夏場は白浜での海水浴も楽しめ、温泉宿も充実している。ところが4年ほど前から、その流れが変化してきた。
「あのぉ、ドン・ファンさんのご自宅はどこですか」
なにわナンバーや大阪ナンバーの、観光客らしい人たちが、白浜町から車で20分ほどの田辺市の商店やガソリンスタンドに聞きに来ることが多くなったという。
2018年5月に寝室で遺体となって発見されたドン・ファンこと、資産家の野崎幸助氏(享年77)の事件は、連日のようにワイドショーで報じられた。21年4月、55歳下の若妻だった早貴被告が薬物を飲ませて殺害したとして、殺人容疑で逮捕。しかし、いまだ裁判がいつ行われるのかの発表もなく、早貴被告は和歌山市内の拘置所にいる。
ドン・ファンの木造2階建ての自宅は、アドベンチャーワールドから20分ほど大阪方面に位置する、田辺市内の高台の住宅地にある。が、路地にあるため、見つけるのは少々難しい。
ドン・ファンは亡くなる半年前(2017年暮れ)に自宅の庭を改装し、塀を新しく作り替えた。有名な「ピンクの塀」がそれである。自ら職人を連れて京都に行き、参考になりそうな塀を見て回ったが、塀の形はいいとして、なぜ色がピンクなのか、意味不明である。
「社長、ピンクの塀はやめた方がいいと思いますよ。もっと地味なのがいいんじゃないですか」
周囲の者たちは反対したが、
「うるさい、ピンクはオレの好きなラッキーカラーやから。やると言ったらやるんや」
と自分の考えを押し通したという。
あの醜悪な趣味の塀の建設に2500万円も投じたというから、呆れ返るばかりだが、これが観光地となっているのだ。
事件直後には近くに観光バスが止まり、団体客のオバちゃんたちがぞろぞろとやってきては、塀の前で記念写真を撮っていることもあった。この人気は衰えることなく、今でも塀の前で記念撮影に及ぶ観光客は減っていない。
「知人にアドベンチャーワールドの土産話をするよりも、ドン・ファンのピンク塀の写真を見せた方が間違いなく盛り上がりますから。ドン・ファン塀はマストアイテムです」(前出・大阪府内の主婦)
泉下のドン・ファンも「やっぱりピンクの塀でよかったんや」と苦笑しているのではないだろうか。