立憲民主党の「コニタン」こと小西洋之参院議員が、放送法の「政治的公平」をめぐり解釈変更を求める官邸と抵抗する総務省とのやり取りが記された「内部文書」を公表した。文書を読む、と図らずも浮き彫りになるのが、総務省内の旧自治省と旧郵政省の暗闘である。
「俺の顔を潰すようなことになれば、ただじゃ済まないぞ。首が飛ぶぞ」
そんな恐喝まがいの発言の主は、安倍晋三政権で首相補佐官だった礒崎陽輔参院議員だ。2015年2月24日、総務省の安藤友裕情報流通行政局長(肩書は当時)との打ち合わせで、安倍氏の前に菅義偉官房長官に相談してほしいと持ち掛けられたことに逆切れしたものだ。
菅氏は総務相を経験し、総務省に対する影響力を持っている。安藤氏が菅氏の名前を持ち出したのが、礒崎氏は気に入らなかったようで「この件は俺と総理が2人で決める」と言い切った。それでも最後には「俺を信頼しろ。役所のOBなんだし、役所の悪いようにはしない」と懐柔に出た。
礒崎氏は総務省でも旧自治省の出身。総務省は2001年の省庁再編で自治省、郵政省、総務庁が統合してできたが、いまだに対抗意識は根強い。それは別の文書にも出てくる。
旧郵政省出身の首相秘書官だった山田真貴子氏は、2015年2月18日の安藤局長との協議で「礒崎補佐官は官邸内で影響力はない。総務省としてここまで丁寧にお付き合いする必要があるのか疑問。今回の話は、変なヤクザに絡まれたって話ではないか」と発言している。
ちなみに、文書を入手した小西氏も、旧郵政省出身だ。