岸田文雄首相が極秘に「練習」していることがある。近畿大学の卒業式でピアノ演奏を披露した安倍晋三元首相のような、楽器演奏ではない。住まいのある首相公邸で、ピッチング練習をしているのだ。
3月10日に東京ドームで行われる「2023ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の日本VS韓国戦で、始球式に臨むことになっているからだ。
侍ジャパンの初戦となる9日の中国戦は、サッカー日本代表の森保一監督が始球式を務める。その翌日に「登板」する岸田首相は、
「これまで数々の名勝負を繰り広げてきた日韓戦の舞台において、侍ジャパンの皆さんを前に始球式を行うのは、大変光栄なこと。日本中の多くの方々が、日本代表の誇りを胸に戦う侍ジャパンを応援している。その気持ちを共有しながら、この栄えある役目を全うする」
と意気込みを語った。
岸田首相が張り切るのには理由がある。都内の進学校・開成高校時代、部活で硬式野球部に所属していた「元高校球児」だからだ。しかも1974年の東東京大会では、二塁手だった岸田選手のトンネルエラーで試合に負けてしまったという汚点がある。
「このエピソードは今でも、開成関係者の間で語り継がれています。岸田首相としては、始球式でストライクを投げれば、半世紀近く経ってあの汚名を返上する絶好の機会と考え、余計に張り切っているというわけです」(政府関係者)
いわゆる元徴用工問題での進展を受け、韓国の尹錫悦大統領が緊急来日して岸田首相と2人で日韓戦を観戦するという構想もあったが、さすがに負けた方の首脳は何を言われるかわからないリスクを抱えているので、実現しないという。