「きのう何食べた?」や「絶飯ロード」など、多くの飯テロドラマを輩出しているテレビ東京だが、その筆頭はなんといっても、2012年1月にスタートした「孤独のグルメ」だろう。
松重豊演じる主人公の井之頭五郎が、仕事の合間に立ち寄った店で素晴らしいグルメに出会うというもので、食べるシーンでは大半が五郎のモノローグになっている。それを聞いているだけでも、お腹が空いてくる。
昨年10月から12月期の放送でSeason10を迎えたほか、ここ数年は大晦日にスペシャル版を放送するなど、テレビ東京を代表する鉄板の人気ドラマになっている。
テレ東では昨年12月から、これを夕方のドラマ再放送枠(月~木17時45分)で「孤独のグルメ全話イッキ見!」として放送している。なぜかSeason5から始まってSeason6。お次はSeason7かと思いきや7、8を飛ばしてSeason9、Season10。そして先週からはSeason1が始まった。
さすがに11年も前のドラマということで、五郎役の松重が若くて驚いた。で、もっと驚くのが、ゲストの顔ぶれ。五郎の仕事先や、店員、常連客として時折、有名人が出てくるのだ。
例えば、第1話では門前仲町のカフェの店長が元フジテレビのひょうきんアナウンサー・山村美智(当時、山村美智子)。第2話の駒込の和食屋では、客にTKOの木下隆行。そして第3話では、モデルルームの店長が、これまた元フジテレビアナウンサーの有賀さつきというように。
思わぬところに懐かしい顔が出てきて、ドキッとする。TKO木下が出た時は「木下だ!」と思わず叫んでしまった。今は亡き有賀さつきの笑顔には「あんなに元気そうだったのに…」としみじみ。出演者が気になって、肝心のグルメが頭に入ってこない。
ところで、このドラマのように実在の店が出ると、行ってみたくなるのが人情というもの。放送直後には客が殺到し、常連客にしてみればいい迷惑な話だ。
が、それも時間が経つに連れて落ち着き、通常運転に戻るのがパターンのようだが、今回の再放送で再び客が殺到し、困惑している店もあるとか。人気ドラマの舞台になるのも善し悪しか。
(堀江南)