参院当選後に一度も登院しないまま歳費が振り込まれていたガーシー前議員が「容疑者」の呼称に変わった。本人は歳費を受け取っていないとしているが、国民の怒りは相当なものである。3月15日に国会議員の資格を失うと、警視庁は直ちに逮捕に踏み切る姿勢を見せた。
逮捕状を請求したのは、ガーシーこと東谷義和容疑者と、滞在先のUAEドバイでガーシー容疑者の配信動画の制作に関わったとされる会社経営者の男性だ。
捜査関係者によると、ガーシー容疑者らは昨年、俳優・綾野剛、ドワンゴ創業者の川上量生氏、ジュエリーデザイナー福谷公男氏の3人を常習的に脅迫したほか、威力業務妨害、名誉毀損などの疑いがあるという。これに対し、ガーシー容疑者は3月16日13時にYouTubeで、
「事実を言っただけで、名誉棄損はしていない。日本には一生帰国しないし、住所を変更したが教える気はない。(日本の有権者に対し)謝る気はない」
と、相変わらずの物言いである。全国紙社会部記者が言う。
「ガーシー容疑者は法律を自分の都合のいいように解釈していますが、それを日本語では屁理屈というんです。自分が正しいと思っているなら日本に帰ってきて、そのように主張すべきでしょうが、それもしない。遠吠えをしているだけです。オウム真理教の広報担当だった上祐史浩氏も、自分たちの解釈を言い張ってアキレられたことがありましたが、それと似ています」
警視庁は今年1月に、ガーシー容疑者のYouTube動画の広告収入を管理する会社の実質的代表者の関係先や、逮捕状を請求した会社経営者の関係先を家宅捜索。業務委託の契約書や制作代行について記載された書類など、数十点を押収して捜査を進めてきた。
警視庁はガーシー容疑者が任意の事情聴取の要請に一度も応じなかったことや、ドバイに滞在したまま同様の脅迫行為を繰り返していることから、証拠隠滅などのおそれもあると判断した。3月15日の参議院本会議で除名されて議員資格を失い、「不逮捕特権」も失ったことから、逮捕状の請求に踏み切った。今後、警察庁を通じて外務省にパスポート返納命令を出すよう要請するとともに、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配する方針だ。
「にもかかわらず、3月15日午前、政治家女子48党(旧・NHK党)の支援者約100人が国会正門前でガーシー擁護の集会を開いたというから、アキレ返るばかりです。日本に帰らないまま、誰が資金援助をするのでしょうか。警視庁は資金援助をした者も、逃亡ほう助容疑で検挙するのでは」(前出・社会部記者)
長期戦も予想されるこの事件。ガーシー容疑者はどこまで逃げ切ることができるか。