球団最多となる9回目の開幕投手がほぼ消滅した巨人・菅野智之を巡って、新たな火種が勃発する可能性が出てきた。
菅野は3月18日に行われた日本ハムとのオープン戦に登板しながら、右肘の張りを訴えて、わずか1イニングで緊急降板した。以降も1軍に帯同しているが、キャッチボールもできず、再開のメドは立っていない状態だ。スポーツ紙遊軍記者が言う。
「阿波野1軍投手チーフコーチも、菅野のピッチング再開には慎重です。場合によっては、開幕1軍も難しいと思っているのでは」
これにより、3月31日の開幕戦(中日戦・東京ドーム)の先発はほぼ消滅。19日の日本ハム戦で5回を投げて自責点0と好投した新外国人のグリフィンが、17年のマイコラス以来となる大役を務めることが有力となった。
だが、問題はそれほど簡単ではない。原辰徳監督が相変わらず、実の甥である菅野を特別扱いしているからだ。長年にわたり巨人を取材するベテラン記者は、次にように話す。
「原監督は、投球再開のメドも立っていない菅野に甘い。『上(1軍)で調整したいということは、ファイティングポーズを取っていることだと感じています』などと話している。こんな特別扱いを見せられたら、当落選上にいる選手はたまったものではないでしょう」
今季、V奪回を狙う巨人だが、ピッチングスタッフは、他球団に比べていまひとつ。確実に先発として計算できるのは現在、侍ジャパンに加わっている戸郷翔征。グリフィンなど評判のいい新外国人投手はいるが、来日1年目だ。公式戦で投げてみなければ、どれだけの戦力になるのか分からない。
本来なら3月19日の日本ハム戦でオープン戦に初登板し、1回を打者3人で抑えたドラフト3位・田中千晴など、新戦力にとっては大チャンス。だが、彼らは一度の失敗で即2軍に落とされる。いくら実績があり経験が豊富とはいえ、キャッチボールもできない投手を自由にさせるのは、あまりに依怙贔屓がすぎるというものだ。原監督は毅然とした態度を示す必要があるだろう。
(阿部勝彦)