スポーツ

山口健治の“江戸”鷹の目診断「向日町記念」

“京都トリオ”の表彰台独占ある

 3カ月前後の欠場は、実戦に何の影響もない。むしろ、じっくり乗り込み、体のケアとリフレッシュできるメリットがある。

「向日町記念」(7月31日【木】~8月3日【日】)に出走予定のS級S班は、村上義弘成田和也深谷知広の3人。村上義と成田はS1の稲垣裕之村上博幸渡邉一成とともに短縮された自粛欠場明けの復帰初戦。この5人、持ち味を出し切ることがみそぎになる。

「いつでも実戦に出られるように練習していた。弱い京都は見せたくない」と、村上義が言っていると関係者から聞いた。

 骨折が完治しないまま12年のグランプリを獲り、今年の名古屋ダービーも完調には程遠い状態で勝っているように、逆境で強さを発揮するのが村上義。ここは2年連続、遠征勢の後塵を拝しているのも発奮材料。闘将には負けられない一戦になる。

 地元勢に立ちはだかるのは深谷だ。弥彦寛仁親王牌で2つ目の勲章を手にして、実力者健在をアピールした。今回は戦う相手に不足はない。連係する中部のマーカーは不在でも、真っ向勝負にためらいはない。

 さて、並びと展開。地元は稲垣─村上義─村上博の鉄壁京都トリオ。そして、深谷の後位は小倉竜二が主張し、九州は井上昌己荒井崇博園田匠で折り合う。東日本は南関の石井秀治成清貴之と、小松崎大地─渡邉一─成田の福島3者。関東は矢野昌彦が有力だが、単騎になりそうだ。他では松岡健介東龍之介が圏内で、進出してくれば松岡は地元ラインの4番手、東は南関の先導役か。

 主導権は小松崎が取り、中団は京都勢の指定席。深谷は井上の動きに合わせて踏み出しそうだが、劣勢を意識すれば早めのまくりもあるのではないか。

 本命は村上義。前後は信頼できる後輩と実弟。3人で表彰台独占もある。対抗は深谷。まくりの爆発力は群を抜く。村上義が残しをかけるようなら、稲垣の逃げ切りがある。

 伏兵は、奥平充男(京都・93期)、長島大介(栃木・96期)、川口公太朗(岐阜・98期)の3選手。

 ホームバンクの奥平は実業団で走り、年齢制限がなくなってから選手になった。43歳とはいえ競走スタイルは徹底先行と若々しい。A級ファイナルを勝ち特進で返り咲いた長島、初のS級の川口も1次予選を突破すれば勢いがつく。

◆プロフィール 山口健治(やまぐち・けんじ) 1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。

◆アサヒ芸能7/29発売(8/7号)より

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