今春のWBCで大会MVPを獲得した大谷翔平と、侍ジャパンの4番でベストナインの吉田正尚がメジャーでも無双状態だ。日本では不振にあえぐ侍戦士も続出する中、なぜここまで2人だけが「勝ち組」になりえたのか。止まらない快進撃の裏側を徹底的に探った!
今季の大谷翔平(28)は、開幕当初からエンジン全開だった。
「まずは投手として、メジャー6年目にして初めて4月中に4勝をマーク。打率は3割近くをキープし、本塁打もア・リーグ7位の8本(成績はすべて5月11日現在、以下同)。二刀流の両面でリーグ10傑に入る活躍を見せています」(MLB記者)
スポーツライターの飯山満氏も大谷の活躍を手放しで称賛する。
「WBC決勝で最後にマイク・トラウト(31)から空振り三振を奪った、右打者から大きく外に逃げる魔球・スイーパーを完全に使いこなしています。投球全体の50%を超える試合もあるほど。米野球メディアでは異例となる、大谷個人の専門記者まで誕生するなど、相変わらず圧倒的な注目を集めています」
今季からMLBは同地区同士の対戦が減り、全チームが少なくとも1度は対戦するようスケジュールが変更された。そこには大谷のような超人気選手が多くのチームと対戦することで、視聴率や観客動員数を上げる狙いがあると言われる。昨季の指名打者と先発投手の出場条件に関する「大谷ルール」に続き、再びメジャーのルールを変えてしまったわけだ。
ただし、成績面で今後に一抹の不安がないわけでもない。それは大谷本人ではなく、エンゼルスのチーム事情によるものだ。MLB記者が言う。
「開幕戦のスタメンマスク、ローガン・オハッピー(23)が左肩の負傷で手術が決定して今季絶望。その後の代役捕手も故障者リスト入りし、急遽マイナーから昇格した捕手が出場しています。女房役が代わってからの大谷はスプリットを積極的に投げることができず、投球の幅が狭まってしまいました。直近の試合で失点が重なったのはそのためです」
エースの調子はチームの成績に直結するだけに、心配する声も上がるが、
「それでも奪三振率は相変わらずリーグ首位ですし、突出した投手であることは間違いなく、当然ながら修正は可能。WBCで例年より調整が早まったことも序盤の好調を支えているとは思いますが、大崩れしなければサイ・ヤング賞も狙えるデキにあると思います」(MLB記者)
世界最高投手というさらなる伝説を残せるか。