改正道路交通法により、4月1日から自転車用ヘルメットの着用が努力義務となることに伴い、警視庁では3月22日から交番勤務の警察官らが、自転車乗車時の着用を始めた。
警視庁交通総務課によると、ヘルメットは白色で正面に警察のエンブレムが付けられ、両側面に「警視庁」、後ろに「POLICE」の文字が記されている。警察官が取り締まりに向かう際などに着用する。
2017年から21年、東京都内で発生した自転車の死亡事故のうち、約7割で頭部損傷が致命傷となった事実があるが、そもそも今回の「努力義務」に罰則はあるのだろうか。
「幼稚園のママ友の間では、この話題でたびたび盛り上がります」
と話すのは、都内の30代主婦である。続けて言うには、
「子供を乗せる際にはヘルメットを着用させていますが、ママ友たちはせいぜい1割程度しかヘルメットはかぶっていませんね。髪型が崩れるのと、ヘルメットを持って買い物には行きづらいからです。そうしたことを解決できれば、普及していくんじゃないでしょうか。ヘルメットを仕舞うような自転車があればいいんでしょうけど、努力義務って強制力も罰則もないって聞きますからね…」
努力義務とは、法律の条文で「~するよう努めなければならない」「~に努めるものとする」などと規定されている。法的拘束力はなく、違反しても刑事罰や過料などの制裁を受けることはない。
「ただ、ヘルメット着用と非着用では、致死率に2倍以上の差があるのも事実。安全のために、着用が重要なことは間違いないのですが…」(交通ジャーナリスト)
自転車用ヘルメットの購入費に対し、補助金を出している自治体がある。自治体ごとに金額や条件は異なっているので、住んでいる地域の自治体ウェブサイトをチェックした方がいいだろう。
多くの自治体では、安全基準を満たした自転車用ヘルメットが、補助金制度の対象だ。自転車用ヘルメットにはいくつかの安全基準マークがあり、例えば目にすることの多い「SGマーク」は、一般財団法人製品安全協会が定めた安全基準・製品認証・事故賠償が一体となったもの。SGマーク付き製品の欠陥により人身事故に至った場合、同協会が損害賠償金を支払うことになっている。
自転車ヘルメット補助金制度の対象を、子供や高齢者に限定している自治体もあるが、全年齢での着用努力義務化に伴い、今後、対象年齢は拡大する可能性がある。
「領収書をもらって、あとから申請する場合や、購入前に申請して割引券をもらう場合など、自治体によって申請方法は様々です。対象となる購入店舗や購入時期を限定しているケースもあるので、事前にチェックするといいでしょう」(前出・交通ジャーナリスト)
自転車による事故が増えている昨今、ヘルメットが必要なのは理解できるが、先の主婦のようなナマの声を反映させることも必要ではないか。