WBCチェコ代表は「きのこ派」だった──。
何のことかといえば、日本を二分する「きのこの山」VS「たけのこの里」論争だ。たとえ侍ジャパンの世界一で日本全国がひとつになっても、「きのこ」か「たけのこ」か雌雄を決する戦いは回避できない。
3月11日のチェコ戦に先発した佐々木朗希がチェコ代表のウィリー・エスカラ選手に死球を当てたことで、所属球団の親会社であるロッテの「コアラのマーチ」や「アーモンドチョコ」を袋いっぱいに携えてお詫びに行ったエピソードは、チェコの国営放送など世界中で報じられた。佐々木は一躍「お菓子の子」として注目されることに。
佐々木が持参したロッテのお菓子がけっこう気に入ったのだろう。チェコ代表はYouTubeに「日本のお菓子を食べてみた動画」をアップした。
チェコは1989年のビロード革命で、共産主義政権が崩壊。その2年後、筆者が現地を旅行した際、首都プラハの目抜き通りには、ビロード革命後に開店した真新しいカフェやクッキー、チョコレートを測り売りするパティスリーが並んでいた。素朴なウクライナ産クラッカーにメイプル、カラメルをまぶした袋菓子もスーパーで売られており、スイーツ好きの印象がある。
さて、チェコ代表の動画に戻れば、中身はかなりチャレンジングな選択だった。
●いかフライ旨辛味
●男梅グミ
●駄菓子屋かみかみするめ
●手塩屋ミニ
●きのこの山
●お嬢の喫茶グミ ハイカラレモネード味
●蒲焼さん太郎
●草もち
●アーモンドフィッシュ
チェコ代表の一番の推しは「きのこの山」。佐々木が渡した「コアラのマーチ」や、自国で販売されているメイプルクラッカーに近い味を気に入ったようだ。
「東京五輪の際に選手食堂で人気だったのは『果汁グミ』でした。最初は何かわからず、おそるおそる口に入れてみた外国人選手のリアクションを遠目で見ていた他の選手も、グミを競うように取り始め、帰国時のお土産にも買っていった。日本のお菓子は形にも凝っているためSNS映えすると、海外の選手に人気のようです」(五輪関係者)
WBCでも「お菓子の子」の広告効果は抜群。チェコ・プラハ市内のアジア系スーパーでは、チェコ人が「コアラのマーチ」を買いに押し寄せているという。
海外に日本のお菓子を広めた功労者として、佐々木は記憶されることだろう。
(那須優子)