3月25日、中東UAEのドバイで行われた競馬のドバイシーマクラシック(芝2410メートル)で、日本馬イクイノックスが驚異の走りを見せて1着に入った。
昨年末の有馬記念と10月の天皇賞・秋を制しているイクイノックスは、鞍上ルメールの指示通り、初めての逃げを打った。競り合ってくる馬もない、悠々の逃げ。3コーナーから後続馬が距離を縮めてきたが、それをあざ笑うかのように、最後の直線では差が縮まるどころか引き離す一方。ルメールはノーステッキで後続馬を振り返って確認するほどの余裕を見せ、ゴール前は流すだけだった。
それでいて、2分25秒65のコースレコードを記録したから衝撃的だ。これで日本馬がまだ勝ったことがない、凱旋門賞を制するという悲願が達成されれば──。
「久々にこれぞ強い馬だという、圧倒的な勝ちっぷりでしたね。逃げを打ちながら、最後の直線で後続馬をどんどん引き離したわけですから。相当、調子も良かったんでしょう」(競馬担当記者)
パリの郊外ロンシャン競馬場で毎年秋に行われるのが凱旋門賞であり、今年は10月1日に開催される。賞金額は別として、世界で最も権威のあるレースだ。日本馬の挑戦は1969年のスピードシンボリから始まっており、いまだ勝利はない。99年のエルコンドルパサー、2010年のナカヤマフェスタ、12、13年のオルフェーヴルの2着が最高成績である。はたしてイクイノックスは凱旋門賞馬になれるのか。
「レースが行われる時期のパリは雨模様が多く、重馬場になりがち。日本のような高速馬場とは全く違うため、日本馬はこれまで慣れない馬場で脚色が鈍り、勝利を阻まれてきました。今回のドバイのレースでは、イクイノックスの体が大きくなりつつも、俊敏な動きを見せた。このまま無事に過ごしてパリに行けば、凱旋門賞馬になれる可能性が80%ほどでは」(前出・競馬担当記者)
イギリスのブックメーカー大手ウィリアムヒル社は、凱旋門賞の前売りオッズで、イクイノックスを8倍の1番人気に設定した。なんとか歴史を塗り替えてほしいものだ。